先天性顔面神経麻痺
先天性麻痺としては先天性片側性の下口唇麻痺が最多で、顔面神経下顎縁枝の障害により、口角下制筋や口唇下制筋が動かなくなります。成長に伴い目立たなくなることが多いのですが、治療としてつり上げ術などの形成術を行う場合があります。
顔面神経核の形成不全によるとされる Mebius症候群にて両側顔面神経麻痺と外転神経麻痺、脳神経麻痺が認められ、その他、小耳症や耳瘻孔・顔面筋萎縮を伴う第1・2鰓弓症候群、Goldenhar症候群、 Treacher Collins 症候群などもあります。
一般に先天異常による麻痺では軽症例が多いのですが、高度麻痺の場合には交叉性顔面神経吻合術や薄筋遊離移植術、二期的動的再建が行われることがあります。
おかおのまひのけんさ方法
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目で見てかくにん
お顔の状態を確認します。お口を開けたり、口角を動かしたり、鼻を動かしたり、眼を閉じたり、額にしわを寄せて、お顔の筋肉の動きを確認致します。また、お耳や頭皮に水疱や発赤がないか、腫れや痛みを伴わないかを確認します。結膜や涙の状態も確認が必要です。 -
触ってかくにん
顔面神経の経路で異常が無いか確認します。耳下腺の腫脹や、側頭部の骨折・変形の有無を確認致します。 -
刺激してかくにん
障害の程度と予後を判定するために、耳下部で顔面神経を刺激して顔面の筋肉の収縮や活動電位を確認します。また、筋電図により神経再生の状態を把握したり、瞬目反射を調べたり、舌を電気刺激して味覚を感じるか確認したり、強大音刺激に誘発されるアブミ骨筋の反射の有無を確認することがあります。 -
超音波でかくにん
超音波の検査機械を使用して耳下腺から頸部全域の腫脹と性状を確認する場合があります。病変と他の組織の境界面や病変内部の信号、病変を通過した後の信号の状況などを確認致します。 -
画像でかくにん
側頭骨X線撮影やCTやMRIといった頭頸部内部の変化を断層で確認する機械を使用して問題が無いかどうかを調べる事があります。途中で造影剤といって、血管や血流のよい部分がよく区別出来るようにする注射をして確認する事もあります。 -
細胞や組織の状況をかくにん
必要に応じて針を刺して細胞を取ったり、顕微鏡下に細胞の状態を確認いたします。また、痰や粘液等を採取してどのような細菌に感染しているのか、またはどのような状態の変化が認められるのかを確認します。 -
その他のかくにん方法
アレルギー性疾患の関与が疑われる場合には採血して原因物質について確認を行います。ウィルス感染やその他の感染症等が疑われる場合にも採血して確認をすることがあります。