喉頭血管腫
血管内皮細胞が異常増殖する小児の良性腫瘍で、先天的な血管形成異常である血管奇形と定義上は区別されますが、臨床上の区別は難しいことがあります。
血管腫では生下時に認められる事は少なく、生後1ヶ月までに発見され、1歳頃までに増殖し、5~8歳頃までに自然消退します。血管奇形では出生前から存在し病変は消退することなく共に大きくなります。
血管腫の特殊なものとしてKasabach-Meritt症候群があり、心不全・出血・潰瘍・血小板減少を伴い、喉頭では稀ですが、巨大な血管腫で致命的となることがあります。血管奇形のには遺伝性はありませんが、Sturge-Weber症候群やRendu-Osler-Weber症候群など特殊な遺伝性疾患も認められます。
症状として嗄声、呼吸困難、血性痰を生じることがあり、発生部位的特徴から治療に苦慮することも多くなります。
診察では喉頭鏡または喉頭ファイバースコープ下に暗赤色の限局性の腫瘤が認められます。病理診断にて確定します。血管造影を行うことも考慮されます。
治療として血管腫は一般的に自然消退するため、経過観察となることが多いのですが、喉頭の血管腫については気道確保を考慮しつつKTPレーザーによる外科的加療が第1選択とされます。ステロイドやインターフェロン投与も考慮されます。血管奇形については腫瘍が増大するため、状況に応じKTP・YAG・CO2レーザーにて蒸散・摘出を行い、必要によりコイルやエタノールにより塞栓術を行います。また、ピシバニールによる硬化療法も考慮されます。
こうとうのけんさ方法
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目で見てかくにん
喉頭粘膜の状態を間接喉頭鏡という鏡を使用して確認します。前傾姿勢でお口を開けて頂き、お口に入れた鏡で喉頭蓋、披裂部、披裂喉頭蓋ヒダ、声帯、仮声帯等に異常がないか、発赤や潰瘍、腫瘍は出来ていないか、声帯の動きに問題が無いか等を確認致します。 -
触ってかくにん
喉頭を含め、頸部全域に腫脹があるのか、喉頭周囲・頸部のリンパ節の状態がどうか、喉頭の挙上・下降のタイミングに問題が無いか、、等を確認致します。 -
くだを入れてかくにん
詳細を確認する必要がある場合には、お鼻から管を入れて、喉頭の各部位の状態とその動きを確認することがあります。その他にも手術の時には喉頭直達鏡といって、まっすぐな金属製の筒を入れて顕微鏡下に観察する事もあります。 -
超音波でかくにん
超音波の検査機械を使用して喉頭周囲を含め頸部全域の腫脹の性状を確認する場合があります。病変と他の組織の境界面や病変内部の信号、病変を通過した後の信号の状況などを確認致します。 -
画像でかくにん
喉頭のデジタル撮影や造影検査を行う場合があり、CTやMRIといった首を輪切りにして内部の変化を確認する機械を使用して問題が無いかどうかを調べる事があります。途中で造影剤といって、血管や血流のよい部分がよく区別出来るようにする注射をして確認する事もあります。 -
細胞や組織の状況をかくにん
必要に応じて針を刺して細胞を取ったり、おくびのリンパ節自体を摘出して、顕微鏡下に細胞の状態を確認いたします。また、痰や粘液等を採取してどのような細菌に感染しているのか、またはどのような状態の変化が認められるのかを確認します。 -
音声機能のかくにん
発声して頂いて、声の高さ・強さ・音色について確認致します。声がれ(嗄声)を認める場合、大まかな嗄声の状態、ガラガラ度合い、息漏れの程度、力のなさや、努力の程度などを確認致します。また、発声の持続時間がどの程度かを確認致します。 -
声帯粘膜の振動をかくにん
声帯をストロボ撮影して、声帯振動の規則性や振幅、固定の有無、声帯の粘膜波動の状態や声門の閉鎖状況について確認することがあります。 -
その他のかくにん方法
アレルギー性疾患の関与が疑われる場合には採血して原因物質について確認を行います。ウィルス感染やその他の感染症等が疑われる場合にも採血して確認をすることがあります。