側頸嚢胞・瘻
嚢胞性頸部腫瘤として主なものに側頸嚢胞と、正中頸嚢胞に分けられます。
側頸嚢胞は胎児期の鰓性臓器の発生過程に設ける鰓溝や鰓嚢の遺残により発生すると考えられています。
頸部の腫脹腫瘤を訴えることが多く、さらに感染が加わり、疼痛や周辺皮膚の発赤を認めることもあります。
第1鰓裂由来のものでは浅在性嚢胞に終わるtype1と外耳道から顎下部まで貫通するtype2に分けられます。
第2鰓裂由来の嚢胞は最多で、胸鎖乳突筋前縁の嚢胞として認められます。
第3鰓裂由来の嚢胞は下咽頭梨状窩瘻として報告されています。梨状窩に開口して急性化膿性甲状腺炎の原因となります。
第4鰓裂以来の嚢胞は極めて稀です。
検査として注意深く触診して解剖学的位置の把握を行い、周囲組織との癒着等も確認をします。次いで超音波エコーにて性状や大きさを把握して、CT・MRI や下咽頭造影も追加します。
治療としては外科的完全切除を行い、細菌学的検索を行うと共に抗生物質投与を行います。手術では嚢胞・瘻管と頸部他組織の関係を把握して遺残のないようにします。
おくびのけんさ方法
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目で見てかくにん
外見から腫脹がどの部分にあるのか、両側か片側か、皮膚の発赤腫脹はあるのか等を確認致します。 -
触ってかくにん
腫脹の程度はどのくらいか、硬いかどうか、周囲との癒着はあるのか、表面の性状は、皮膚の状態はどのようなものか等を確認致します。 -
くだを入れてかくにん
お鼻から管を入れて、お鼻から食道にかけて明らかな問題が無いかを確認致します。 -
超音波でかくにん
超音波の検査機械を使用して腫脹の性状を確認致します。病変と他の組織の境界面や病変内部の信号、病変を通過した後の信号の状況や石灰化の有無などを確認致します。 -
画像でかくにん
CTやMRIといった、首を輪切りにして内部の変化を確認する機械を使用して問題が無いかどうかを調べます。途中で造影剤といって、血管や血流のよい部分がよく区別出来るようにする注射をして確認する事もあります。 -
細胞や組織の状況をかくにん
必要に応じて針を刺して細胞を取ったり、おくびのリンパ節自体を摘出して、顕微鏡下に細胞の状態を確認いたします。また、粘液等を採取してどのような細菌に感染しているのか、またはどのような状態の変化が認められるのかを確認します。 -
その他のかくにん方法
アレルギー性疾患の関与が疑われる場合には採血して原因物質について確認を行います。ウィルス感染やその他の感染症等が疑われる場合にも採血して確認をすることがあります。