カニューレ抜去困難症
気管切開後にカニューレを抜くときに周囲の肉芽によって気道狭窄を生じて呼吸困難になる状態のことで、気管内に狭窄が存在しない場合でも誤嚥によりカニューレ抜去ができない場合も含まれます。
気管切開孔の上下で肉芽が生じている場合や切開孔閉鎖により気管が扁平となってしまう場合、輪状軟骨の損傷により声門下狭窄が生じている場合、気管挿管により声門下狭窄を生じる場合、誤嚥等により反復性肺炎を生じて気管孔閉鎖にて喀痰の排出が不十分になる場合などがあります。
診察では、気管孔周囲を観察し、ファイバースコープにて声門上下や気管内腔の状態を観察します。気管気管支壁の呼吸性変動や軟骨炎の有無についても確認し、呼吸機能・嚥下機能ともに評価することが必要となります。
治療としては肉芽による気道狭窄の場合には肉芽及び狭窄原因の除去が必要となり、早めに全身麻酔下に対応します。反復性の肺炎を生じる場合には、状態の落ち着いている時期にカニューレを小さいサイズに変えていくことで抜去を試みます。
肉芽や気道狭窄の程度によって自己抜管にて呼吸障害を生じる恐れがある場合には根治手術を行う必要があります。脳障害がなく、精神発達遅滞などを伴わない場合には患児がある程度成長した時点でTチューブなどを挿入し、気管壁を固定し上皮化を促します。脳障害が重篤で誤嚥が著しい場合には気道食道分離術などを考慮しますが合併症として気管皮膚瘻や皮膚瘢痕が挙げられます。
きかんのけんさ方法
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くだを入れてかくにん
お口やお鼻、気管切開口から管を入れて、気管の各部位の状態を確認することがあります。その他にも手術の時には硬性気管支鏡といって、まっすぐな金属製の筒を入れて観察する事もあります。 -
画像でかくにん
気管・気管支のX線撮影や造影検査を行う場合があり、CTやMRIといった体を輪切りにして内部の変化を確認する機械を使用して問題が無いかどうかを調べる事があります。途中で造影剤といって、血管や血流のよい部分がよく区別出来るようにする注射をして確認する事もあります。 -
細胞や組織の状況をかくにん
必要に応じて生検鉗子を利用して細胞を取って、顕微鏡下に細胞の状態を確認いたします。また、痰や粘液等を採取してどのような細菌に感染しているのか、またはどのような状態の変化が認められるのかを確認します。 -
その他のかくにん方法
アレルギー性疾患の関与が疑われる場合には採血して原因物質について確認を行います。ウィルス感染やその他の感染症等が疑われる場合にも採血して確認をすることがあります。