咽喉頭逆流症
胃内容物が逆流して食道を超え咽頭に達し、咽頭・喉頭に何らかの合併症を生じたものを咽喉頭逆流症といいます。
胃酸刺激により喉頭痙攣や中枢性無呼吸を生じることがある他に、喉頭の多発性肉芽の形成や瘢痕狭窄、時には失声を生じることがある為、注意が必要となります。
通常では生後3ヶ月までは生理的な逆流を認め、1歳頃までには消失しますが、乳幼児で引き続いて症状を認める場合には問題とされます。
咽喉頭逆流症は生後1年以前と以後で分けて考え、生後1年以前のものは脳性麻痺や中枢神経障害、消化管・気管の奇形に伴って生じ、嚥下障害と栄養障害を伴い、呼吸障害を生じて重篤となるため、胃瘻造設や噴門形成術、誤嚥防止手術等を行います。
生後1年以降のものでは成長により胃酸分泌が増加していることから障害が喉頭に特に強く生じます。1歳以前の乳児の場合と異なり、健常児に生じる事があり、時に乳幼児突然死症候群や乳幼児突発性緊急事態といった生命に危険を伴う状態に進展する場合があり、注意が必要となります。
診察では詳細な問診が必要で、げっぷや頻回な咳払い、異常姿勢を取ることがあり、食形態や食習慣、生活習慣に問題が認められる場合があります。
咽喉頭の視診やファイバースコープにて披裂部・声門上部粘膜の発赤腫脹を認め、頸部側面X線検査では頚部食道の腫脹を認めることが多いです。また、小児では上部消化管透視を胃から十二指腸まで行う必要があります。
治療としては1歳児以前であれば上述しております。1歳児以降であれば食形態や食内容の指導に始まり、生活習慣を改善しつつ胃酸分泌抑制剤や消化管運動促進剤を内服します。
逆流物の誤嚥と呼吸障害を生じる場合には胃瘻造設や噴門形成術、誤嚥防止に喉頭気管分離・気管食道吻合術等を考慮します。
喉頭狭窄を生じる場合には気管切開を行うことがあり、この場合術後の管理を慎重に行います。
こうとうのけんさ方法
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目で見てかくにん
喉頭粘膜の状態を間接喉頭鏡という鏡を使用して確認します。前傾姿勢でお口を開けて頂き、お口に入れた鏡で喉頭蓋、披裂部、披裂喉頭蓋ヒダ、声帯、仮声帯等に異常がないか、発赤や潰瘍、腫瘍は出来ていないか、声帯の動きに問題が無いか等を確認致します。 -
触ってかくにん
喉頭を含め、頸部全域に腫脹があるのか、喉頭周囲・頸部のリンパ節の状態がどうか、喉頭の挙上・下降のタイミングに問題が無いか、、等を確認致します。 -
くだを入れてかくにん
詳細を確認する必要がある場合には、お鼻から管を入れて、喉頭の各部位の状態とその動きを確認することがあります。その他にも手術の時には喉頭直達鏡といって、まっすぐな金属製の筒を入れて顕微鏡下に観察する事もあります。 -
超音波でかくにん
超音波の検査機械を使用して喉頭周囲を含め頸部全域の腫脹の性状を確認する場合があります。病変と他の組織の境界面や病変内部の信号、病変を通過した後の信号の状況などを確認致します。 -
画像でかくにん
喉頭のデジタル撮影や造影検査を行う場合があり、CTやMRIといった首を輪切りにして内部の変化を確認する機械を使用して問題が無いかどうかを調べる事があります。途中で造影剤といって、血管や血流のよい部分がよく区別出来るようにする注射をして確認する事もあります。 -
細胞や組織の状況をかくにん
必要に応じて針を刺して細胞を取ったり、おくびのリンパ節自体を摘出して、顕微鏡下に細胞の状態を確認いたします。また、痰や粘液等を採取してどのような細菌に感染しているのか、またはどのような状態の変化が認められるのかを確認します。 -
音声機能のかくにん
発声して頂いて、声の高さ・強さ・音色について確認致します。声がれ(嗄声)を認める場合、大まかな嗄声の状態、ガラガラ度合い、息漏れの程度、力のなさや、努力の程度などを確認致します。また、発声の持続時間がどの程度かを確認致します。 -
声帯粘膜の振動をかくにん
声帯をストロボ撮影して、声帯振動の規則性や振幅、固定の有無、声帯の粘膜波動の状態や声門の閉鎖状況について確認することがあります。 -
その他のかくにん方法
アレルギー性疾患の関与が疑われる場合には採血して原因物質について確認を行います。ウィルス感染やその他の感染症等が疑われる場合にも採血して確認をすることがあります。