声帯結節
声帯結節は声帯ポリープと同じように声の酷使と関連していて、声帯膜様部中央両側に生じることが特徴です。病理組織学的には粘膜固有層の限局性肥厚で、初期は浮腫性ですが、時間と共に線維化を生じ硬くなっていきます。
小児に多発し、報告により嗄声を認める小児の概ね12~43%を占めると報告されています。8~9歳の男児に多いとされます。
原因は上記の様に慢性的な声の使いすぎで、大人では発声を職業とする人に多く認められますが、こどもでは活発で声を良く出す児童やクラブ活動の応援や歌を歌う機会の多い小児に認められ、声がれのみを認め、痛みや発熱は無く、多くは思春期まで続きながら次第に消失していきます。
診察ではファイバースコープで声帯を観察し、結節を確認します。
声帯の中央に左右対称に生じた小さな隆起が、発声時に声帯を完全に閉じることを妨げ、息が漏れることで声がれが生じます。喉頭ストロボスコープにて声帯振動を確認することにより悪性腫瘍等との鑑別を行い、最発声生持続時間なども参考にします。小児の場合は繰り返し観察することが大切です。
治療としては音声酷使を中止し大声を出さないようにして、吸入療法や発声指導を行います。保存的治療に抵抗する場合には、外科的切除が行われることもありますが、小児の場合、外科的切除を行っても約2割が再発すると報告されており、変声期で自然治癒することも多いため、特殊な場合を除き、発声指導と経過観察のみが行われています。
こどもの生活環境を把握し、声の使い方に留意した生活を送るように指導致しますが。大きい声を出さず、力んだ声や早口・奇声を控えて、咳払いを避けることが有効であり、勧められます。話すときも休みを入れたり、水分摂取を励行し、相手の近くで優しい・軟らかい発声を心がけます。
こうとうのけんさ方法
-
目で見てかくにん
喉頭粘膜の状態を間接喉頭鏡という鏡を使用して確認します。前傾姿勢でお口を開けて頂き、お口に入れた鏡で喉頭蓋、披裂部、披裂喉頭蓋ヒダ、声帯、仮声帯等に異常がないか、発赤や潰瘍、腫瘍は出来ていないか、声帯の動きに問題が無いか等を確認致します。 -
触ってかくにん
喉頭を含め、頸部全域に腫脹があるのか、喉頭周囲・頸部のリンパ節の状態がどうか、喉頭の挙上・下降のタイミングに問題が無いか、、等を確認致します。 -
くだを入れてかくにん
詳細を確認する必要がある場合には、お鼻から管を入れて、喉頭の各部位の状態とその動きを確認することがあります。その他にも手術の時には喉頭直達鏡といって、まっすぐな金属製の筒を入れて顕微鏡下に観察する事もあります。 -
超音波でかくにん
超音波の検査機械を使用して喉頭周囲を含め頸部全域の腫脹の性状を確認する場合があります。病変と他の組織の境界面や病変内部の信号、病変を通過した後の信号の状況などを確認致します。 -
画像でかくにん
喉頭のデジタル撮影や造影検査を行う場合があり、CTやMRIといった首を輪切りにして内部の変化を確認する機械を使用して問題が無いかどうかを調べる事があります。途中で造影剤といって、血管や血流のよい部分がよく区別出来るようにする注射をして確認する事もあります。 -
細胞や組織の状況をかくにん
必要に応じて針を刺して細胞を取ったり、おくびのリンパ節自体を摘出して、顕微鏡下に細胞の状態を確認いたします。また、痰や粘液等を採取してどのような細菌に感染しているのか、またはどのような状態の変化が認められるのかを確認します。 -
音声機能のかくにん
発声して頂いて、声の高さ・強さ・音色について確認致します。声がれ(嗄声)を認める場合、大まかな嗄声の状態、ガラガラ度合い、息漏れの程度、力のなさや、努力の程度などを確認致します。また、発声の持続時間がどの程度かを確認致します。 -
声帯粘膜の振動をかくにん
声帯をストロボ撮影して、声帯振動の規則性や振幅、固定の有無、声帯の粘膜波動の状態や声門の閉鎖状況について確認することがあります。 -
その他のかくにん方法
アレルギー性疾患の関与が疑われる場合には採血して原因物質について確認を行います。ウィルス感染やその他の感染症等が疑われる場合にも採血して確認をすることがあります。