声帯ポリープ
声帯に生じている声帯と区別可能な丸く表面が滑らかな、可動性良好な腫脹で、腫瘍とは異なり、主に声帯の前1/3の部位に一側性に生じます。
小児には比較的まれで嗄声を訴える小児の0.5~2%と報告されています。
原因は循環障害とされています。炎症時の音声酷使などから血管が壊れ声帯粘膜下にて出血を生じ、フィブリンの析出や毛細血管血栓を生じることで生じるとされています。大きな泣き声や叫び声の繰り返し等の一過性の音声酷使でも生じることがあります。
症状としては嗄声で、声域が狭くなり大きな声が出せなくなります。
診察では内視鏡で声帯を観察し、ポリープを確認します。喉頭ストロボスコープにて声帯振動を確認することにより悪性腫瘍等との鑑別が容易となります。また、最大発生持続時間なども参考にします。
治療としては沈黙や音声指導、声の衛生についての教育、吸入などの保存的治療を行います。こどもの環境を把握し、声の使い方に注意して生活し、大きい声を出さず、力んだ声や早口・奇声を控えて、咳払いも避けることが有効で、話すときも休みを入れたり、水分摂取を励行したり、優しい調子で軟らかい発声を心がけます。
治癒しない場合や経過が長い場合には外科的切除も考慮され、手術は全身麻酔下に喉頭マイクロサージェリーが行われます。
こうとうのけんさ方法
-
目で見てかくにん
喉頭粘膜の状態を間接喉頭鏡という鏡を使用して確認します。前傾姿勢でお口を開けて頂き、お口に入れた鏡で喉頭蓋、披裂部、披裂喉頭蓋ヒダ、声帯、仮声帯等に異常がないか、発赤や潰瘍、腫瘍は出来ていないか、声帯の動きに問題が無いか等を確認致します。 -
触ってかくにん
喉頭を含め、頸部全域に腫脹があるのか、喉頭周囲・頸部のリンパ節の状態がどうか、喉頭の挙上・下降のタイミングに問題が無いか、、等を確認致します。 -
くだを入れてかくにん
詳細を確認する必要がある場合には、お鼻から管を入れて、喉頭の各部位の状態とその動きを確認することがあります。その他にも手術の時には喉頭直達鏡といって、まっすぐな金属製の筒を入れて顕微鏡下に観察する事もあります。 -
超音波でかくにん
超音波の検査機械を使用して喉頭周囲を含め頸部全域の腫脹の性状を確認する場合があります。病変と他の組織の境界面や病変内部の信号、病変を通過した後の信号の状況などを確認致します。 -
画像でかくにん
喉頭のデジタル撮影や造影検査を行う場合があり、CTやMRIといった首を輪切りにして内部の変化を確認する機械を使用して問題が無いかどうかを調べる事があります。途中で造影剤といって、血管や血流のよい部分がよく区別出来るようにする注射をして確認する事もあります。 -
細胞や組織の状況をかくにん
必要に応じて針を刺して細胞を取ったり、おくびのリンパ節自体を摘出して、顕微鏡下に細胞の状態を確認いたします。また、痰や粘液等を採取してどのような細菌に感染しているのか、またはどのような状態の変化が認められるのかを確認します。 -
音声機能のかくにん
発声して頂いて、声の高さ・強さ・音色について確認致します。声がれ(嗄声)を認める場合、大まかな嗄声の状態、ガラガラ度合い、息漏れの程度、力のなさや、努力の程度などを確認致します。また、発声の持続時間がどの程度かを確認致します。 -
声帯粘膜の振動をかくにん
声帯をストロボ撮影して、声帯振動の規則性や振幅、固定の有無、声帯の粘膜波動の状態や声門の閉鎖状況について確認することがあります。 -
その他のかくにん方法
アレルギー性疾患の関与が疑われる場合には採血して原因物質について確認を行います。ウィルス感染やその他の感染症等が疑われる場合にも採血して確認をすることがあります。