小児慢性副鼻腔炎・鼻茸
喘息、アレルギー性鼻炎といったアレルギー性疾患が合併している小児例が増加している一方で、副鼻腔炎自体は発症数が低下し軽症化する傾向があります。
上顎洞容積は年齢とともにに発育しており、約10歳で成人の大きさに近づくとされますが、この年齢までは症状の再発を繰り返す不安定な時期となることが多いです。
診察では問診の後、鼻内所見を取り、必要に応じて副鼻腔X線や副鼻腔病変を正確に把握するために副鼻腔CTを行います。アレルギー性鼻炎を合併する場合が多い為にアレルギー検査が必要であり、問診の上、鼻汁好酸球検査を行います。また抗原特異的IgE測定を適宜行います。アデノイド増殖症や口蓋扁桃肥大が関与することもあります。
症状としては主として鼻閉、鼻汁、頭痛、口呼吸や咳などで、嗅覚障害は大人に比較し少なく、小児では一般に前篩骨洞・上顎洞が主に病変となります。
特に鼻茸について小児の場合、病理学的には細胞浸潤型を多く認めます。(成人では浮腫型が主)また、小児では好中球優位で、成人では多くは好酸球優位です。
治療の目的は発育に支障を与えずに症状増悪と固定化を防ぐこととなります。
第1選択は薬物療法であり、抗生剤として小児副鼻腔炎では肺炎球菌とインフルエンザ桿菌が検出されることが多いため、第1選択としてペニシリン系やセフェム系が使用されます。
1歳前後より、MRSA等のペニシリ系薬剤への耐性菌や多剤耐性菌も認められる様になり、難治性反復性の副鼻腔炎となることがあります。
マクロライド系薬剤は服用者体内での免疫制御や抗炎症作用、細菌への毒素産生抑制、バイオフィルム破壊作用等が報告されており、成人では一般的に慢性副鼻腔炎に対してマクロライド少量長期投与が行われていますが、これは小児でも有用との報告があり、一般に3~4ヶ月の期間で、特に10歳以下の症例に有効とされています。但し、鼻茸症例では反応不良とされています。
アレルギー合併例に対しては生活指導やステロイド噴霧薬、抗ヒスタミン薬投与等が行われます。
局所療法としては鼻処置の後、抗生物質やステロイドを含有したネブライザー療法や上顎洞洗浄法を行います。
手術治療としては全身麻酔下に内視鏡下手術を考慮します。10歳以下では鼻茸の切除のみに止め、多くは13歳以上となってから成人と同様に副鼻腔手術が行われます。また、鼻アレルギーの合併に対しては下鼻甲介粘膜焼灼術を行います。小児の場合、後鼻孔ポリープが多く認められますが、根治には茎部からの切除が必要となります。
特に、免疫疾患を基礎疾患としてお持ちの方の場合には、治療困難となることが多いです。
おはなのけんさ方法
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目で見てかくにん
お鼻の粘膜の状態や、鼻水の性状・鼻腔のつまり具合、鼻中隔の状態等、様々な部位の状況を確認致します。 -
内視鏡でかくにん
お鼻の中は奥まで広く、非常に立体的で複雑に入り組んでいますので、外からだけでは分からない部分もあります。お鼻の中に内視鏡を入れて、お鼻の中の様々な部位を確認致します。 -
細胞や細菌の状況をかくにん
鼻水そのものや、腫れている部分の細胞や組織を取って、どのような細菌が感染しているのか、またはどのような状態の変化が認められるのかを確認します。 -
刺激してかくにん
匂いの物質を嗅いでみて、匂いを正確に感じることが出来るのか確認します。また、アレルギーの原因物質を使用して刺激を行い、反応が誘発されるのかを確認致します。 -
その他のかくにん方法
必要に応じてCTやMRIといった画像検査を行い、アレルギー性疾患が疑われる場合には採血して検査を行うことがあります。