小児の嚥下障害
新生児期には脳性麻痺や奇形にて嚥下障害を生じる場合が多く、小児期には髄膜炎などの感染症や頭部外傷で嚥下障害を生じることが多くなります。
小児の嚥下障害では発達障害を伴うことが多く、多彩な神経症状を伴い、成人と比較すると脳血管障害や神経筋疾患による嚥下障害はあまり認めません。
嚥下障害には多くの疾患が関連しており、発症年齢によってもその原因疾患が異なります。小児の嚥下障害では多くの場合、既に小児科等で診断がなされ、加療が開始されてから機能評価・加療目的に耳鼻科に紹介されて来院されます。
嚥下の機能検査としては小児の場合、内視鏡検査と咽頭食道透視を可能であれば行いますが、知的障害や不随意運動伴うことが多く、年少者程検査に困難を伴います。
小児では特に流動物で誤嚥を起こす確率が高く、食道透視の造影剤には低浸透圧のものが使用されてますが、検査では舌骨や甲状軟骨が描出しにくく、嚥下運動の評価が容易でありません。この場合、特に舌根部の運動や鼻腔への逆流、誤嚥の有無が確認されます。
嚥下障害の治療については、原因が様々である為に、原因疾患に応じて個々に対応することとなります。この為、神経学的異常や精神発達遅滞の合併によって回復に差があります
嚥下障害のリハビリテーションとしては、まず栄養の確保と誤嚥性肺炎を防止することが必要となるので、経鼻経管栄養や胃瘻、中心静脈栄養など考慮します。
経鼻経管栄養の場合、肺炎の原因になることがあり、間欠的に行うことがあります。また、経皮的胃瘻増設術にて短時間で安全に胃瘻を増設可能となりましたが、小児では胃瘻の場合に胃食道逆流が比較的高頻度に認められると報告されています。
えんげのけんさ方法
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目で見てかくにん
口腔・咽頭・喉頭粘膜の状態を直接診察したり間接喉頭鏡という鏡を使用して確認します。発赤腫脹や潰瘍、腫瘍は出来ていないか、声帯の動きに問題が無いか等を確認致します。また、少量ずつお水を飲んで頂いて誤嚥の有無を確認致します。 -
触ってかくにん
咽頭・喉頭・頸部全域を含め、腫脹があるのか、リンパ節の状態がどうか、喉頭の挙上・下降のタイミングに問題が無いか、、等を確認致します。 -
くだを入れてかくにん
お鼻から管を入れて、咽頭・喉頭の各部位の状態とその動き、協調運動が問題なく行われているのか、誤嚥が無いか、梨状窩に残存は無いか等を確認することがあります。 -
超音波でかくにん
超音波の検査機械を使用して頸部全域の性状を確認する場合があります。病変の有無やと病変と他の組織の境界面や病変内部の信号の違い、病変を通過した後の信号の状況などを確認致します。 -
画像でかくにん
嚥下造影検査を行う場合があり、嚥下時の口腔から食道・胃までの造影剤の移動を観察し、嚥下開始のタイミングや誤嚥の有無、その機序や程度を動画として保存して確認することがあります。また、CT や MRI にて頸部から胸部の変化を確認し問題が無いかどうかを調べる事があります。途中で造影剤といって、血管や血流のよい部分がよく区別出来るようにする注射をして確認する事もあります。 -
細胞や組織の状況をかくにん
必要に応じて針を刺して細胞を取ったり、リンパ節等を摘出して、顕微鏡下に細胞の状態を確認いたします。また、痰や粘液等を採取してどのような細菌に感染しているのか、またはどのような状態の変化が認められるのかを確認します。 -
その他のかくにん方法
アレルギー性疾患の関与が疑われる場合には採血して原因物質について確認を行います。ウィルス感染やその他の感染症等が疑われる場合にも採血して確認をすることがあります。また、嚥下に関与する筋の筋電図を調べることもあります。