言語障害
言語活動はコミニュケーションに不可欠で、聴く、話す、読む、書く等の行為を行い、これらが障害されたものを言語障害といいます。
小児の言語発育は話す機能と理解する機能に分けて考えられますが、ことばの音としての性質と、記号としての抽象的性質を考慮する必要があります。
小児のことばの音の発達は叫声期、喃語期、模倣期、小児言語期の4段階に分類されます。
叫声期は新生児が呼気に伴い叫声を発している時期で、産声ともいい、生理的におよそ440Hzの高さで規則正しく発声されます。
喃語は生後6週頃から生じ、母音に加え次第に子音が出現し始めます。本来の言語と異なり意味を伴いません。
模倣期では生後1年となり周囲の音に耳を傾け保護者の口や顔の動きを観察し真似をする様になります。これら発音と聞き取りの繰り返しにより言語機能発育が促進されます。
小児言語期には聴能発育から意味理解が可能となり、ことばを話し始めます。
抽象的性質の発達は語彙と文法にて評価しますが、語彙は2歳から急激に増加、文法については1語から2語文、そして文章の構築が可能となり、複雑な意思疎通が可能となります。
ことばの生成はことばの内容を考える思考過程、語彙選択し文章構築する言語学的過程、筋肉運動を介し音響信号を発声させる生理学的過程に分類されます。
思考・言語学的過程では前頭前野下前頭回後部がことばの生成に不可欠で、Brodmann44・45野に相当しBroca領域と呼ばれます。
生理学的過程である発語運動では中心前回に関連筋運動支配中枢があり、錐体路経由で神経線維が橋・延髄など呼吸中枢・2次ニューロン運動神経核へつながり、喉頭・構音器官の諸筋肉の収縮によりことばが生成されます。発語運動は線条体、網様体・小脳など錐体外路系の働きで修飾を受けて協調運動が調整されます。
ことばの理解・認識は音響信号が聴覚系にて受け取られ、言語学的過程を経由して高次認識過程が行われます。認識機能は側頭葉、特に上側頭回後部でなされBrodmann22野に相当しWernicke領域と呼ばれます。
言語活動は高次機能であるため、その他脳の様々な部分が関与しており、上前頭回内側面は自発発話の開始に関連し、角回は文字の視覚心像と聴覚心像の統合に関連しています。視床や連合野・連絡線維も様々な役割を果たしています。
言語障害は上記の各過程の障害にて生じ、思考過程の障害は痴呆や精神病で認められ、言語学的過程の障害はは失語症や言語発達遅滞で、生理学的過程の障害は構音障害やリズム障害にて生じます。
言語障害の診断では問診にて言語障害の症状を把握し、先天性障害の有無や周産期の異常、外傷・発育障害などを確認致します。後天性障害では脳出血・脳梗塞・知能や聴力障害などについて確認致します。
構音障害についてはこちらをご覧下さい。
言語の検査として、課題検査を通じて音読、模倣、書字、自由発語が出来るか等を確認し、音の性質を確認します。音程・強さ・リズム・流暢性といった韻律と単音・単語・会話の構音状態についても確認致します。
障害音が母音か子音か、共鳴障害の有無や語音省略や置換・歪みが無いかについても確認し、ことばの速度や感覚的理解力について把握する必要もあります。
その他、聴力検査、知能検査、X線検査、CT、MRI、筋電図などが行われます。
治療では言語訓練を行いますが、障害の状態に併せて音声学的治療を行う場合と知覚発育や概念形成を促す治療を行う場合、文法発達を促す場合に大きく分けられます。
ことばのけんさ方法
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おみみ・おはなのかくにん
おみみ・おはなに問題がないかを確認致します。 -
おのどのかくにん
おくち、おのど、こうとうに問題がないかを確認致します。 -
きこえのかくにん
きこえに問題がないかを確認致します。 -
はついくをかくにん
発語面、言語理解面、社会性面、運動面等について各種の発達スケールを使用して発育の確認を行い、年齢相応かどうか比較します。 -
音声機能をかくにん
発声して頂いて、声の高さ・強さ・音色について確認致します。声がれ(嗄声)を認める場合、大まかな嗄声の状態、ガラガラ度合い、息漏れの程度、力のなさや、努力の程度などを確認致します。また、発声の持続時間がどの程度かを確認したり、声帯をストロボ撮影して、声帯振動の規則性や振幅、固定の有無、声帯の粘膜波動の状態や声門の閉鎖状況について確認することがあります。 -
言語機能をかくにん
課題検査を行い音読、模倣、書字、自由発語が可能かを確認して、音の性質を確認致します。音程・つよさ・リズム・流暢性といった韻律や、単音・単語・会話の構音状態についても確認致します。
障害音を認める場合には母音か子音か、開鼻声等の共鳴障害の有無や、語音省略・置換・ゆがみについて確認し、ことばの速度と感覚的理解力について確認を行います。 -
その他のかくにん方法
神経学的諸検査や、発達心理学的検査、内分泌機能検査や環境因子の検査が必要に応じて行われます。また、X線、CT、MRI等の画像検査や、アレルギー検査、ウィルス感染についての確認を行うことがあります。