アデノイド肥大
アデノイドは上咽頭(のどの奥の上方、いわゆるのどちんこの裏でお口からは見えない部分、鼻の奥でもあります)にあるリンパ組織ですが、4~5歳で最大となり、青年期には瘢痕様となります。
リンパ組織として外部から侵入しようとする病原体の防御に関係しているのですが、大きすぎる場合に鼻呼吸が困難となり、常に口呼吸となって、アデノイド顔貌と呼ばれるしまりのない顔つきとなったり、集中力が無くなったりします。また、耳と鼻とを繋げる耳管という管の開口部を押し閉じてしまうことによって滲出性中耳炎を誘発したりします。特に、3~6歳の幼児ではいびきや睡眠時無呼吸等の呼吸障害を生じることも問題となります。
原因として先天性の素因や反復する上気道での感染が挙げられ、アデノイド肥大を認める場合には多くは口蓋扁桃肥大も認められます。
主な症状には上記の他にも呼吸障害、発音が不明瞭となって構音障害、鼻副鼻腔炎、夜尿症、集中力の低下に伴う成績不良等の神経症状が挙げられ、また、循環器への影響として時に右室負荷が問題となります。
診察としては単純 X 線検査やファイバースコープ検査、夜間の経皮酸素モニターを行い、必要があれば右室負荷の確認を行います。
治療では全身麻酔の手術を行います。5~7日間の入院が必要ですが、滲出性中耳炎の合併が認められれば鼓膜換気チューブ留置を同時に行い、鼻副鼻腔炎を生じていた場合には手術によりその8割が改善します。
稀に術後出血が問題になります。
おのどのけんさ方法
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目で見てかくにん
おのどの各部位の粘膜の状態を確認します。扁桃表面の性状や咽頭後壁の状態を確認し、発赤や潰瘍、腫瘍等が出来ていないか、確認致します。 -
触ってかくにん
扁桃の膿栓や白苔の付着や出血しやすいのか、膿が出てくるのか等を確認致します。 -
細胞や組織の状況をかくにん
咽頭壁や扁桃そのものや腫れている部分の組織を取って、どのような細菌に感染しているのか、またはどのような状態の変化が認められるのかを確認します。 -
刺激してかくにん
扁桃をマッサージして刺激したり舌・咽頭粘膜の異常部分を刺激してその後の変化等を確認します。 -
その他のかくにん方法
必要に応じてCTやMRIといった画像検査を行うことがあります。また、アレルギー性疾患が疑われる場合には採血して原因物質について確認を行います。ウィルス感染が疑われる場合にも採血して血清中の抗体価を確認することがあります。