補聴器の適応とメリット

  国内の現状では、平均聴力50dB以上の状態(電話が分かるか分からない程度の聴力)となってから装用開始となる場合が実際では多く、公的補助の適応としては、両側70dBを越える低下となった場合に、身体障害者として認定され、補助を受けることが可能となります。

  (WHOの推奨によると、もっとより軽度のささやき声が聞き取りにくくなるレベル、聴力が大人で40B、こどもで30dBを閾値として補聴器使用の適用があるとされています。各人の実状と必要性を考慮して包括的に考える必要があるとされていますが、日本では残念ながらこの程度の難聴では補聴器装用に補助が得られる状態となっておりません。)。



補聴器のメリット 


  アメリカのジョンズ・ホプキンズ大学の調査で難聴レベルと認知症発症リスクについて関連があることが確認され、
難聴高齢者が健聴高齢者より認知能力低下レベルが41%高いことが分かりました。

  また、軽度難聴者は健聴者よりも
認知症発症のリスクは2倍、中等度難聴者となると3倍、重度難聴者では5倍と報告されております。


  これまでも聴覚と認知機能には深い関連性があることが研究者や聴覚の専門家の間で指摘されてきております。

  話をしている時には脳が音声を処理し、話の内容を理解しますが、
難聴で治療を受けていない場合、脳は劣化した音声信号を理解しようと処理に負荷がかかり、このため理解や記憶等の処理に手が回らなくなってしまうと考えられています。


  補聴器を使用することにより、音声信号の処理が補助され、脳が音を理解し易くなります。これにより、脳が認知するための負荷も軽減する事ができ、脳が他の機能を行い易くなると考えられています。



補聴器装用の利点に次ものがあげられます。

物事の処理能力の向上
コミュニケーションの向上
孤独感・うつ症状の軽減
精神的疲労や倦怠感の軽減
注意力・集中力・記憶力の向上





  難聴は幸いにも治療が可能であり、補聴器により、脳が理解し易くなるよう聞こえてくる音を予め処理する事が可能となります。米国からの報告によると
95%の難聴者に対し補聴器装用が有効で、早期の補聴器使用でより大きな効果を得られるとされています。