足腰の弱まりを防ぐような若返りの薬が無いことからも分かる様に、残念ですが加齢によって生じている自然現象の一つともいえる加齢性難聴を、現在の医療技術では完全に治すことは非常に難しいと言えます。(他方、研究レベルとしては最近かなり進んではおります。)
根本治療にはなりませんが、失われた機能を補ってあげることは可能です。例えば足を骨折したときの松葉杖、視力が落ちたときのメガネの様に、補聴器を使用することで低下した聴力を補い、日常生活の不便な部分を改善して、難聴により生じる精神的な苛立ちや、よく聞こえないことから日々の生活自体の喜びがなくなっていくことを改善させることは可能となります。
補聴器の装用により、いわゆる生活の質(QOL)を向上させることが期待できるのです。
聴力低下により発症が誘起されると考えられる、うつ病や認知症についても、補聴器を使用することにで進展が抑えられ、発症リスクが健聴者と同等となることが報告されてもいます。
難聴を放置することでコミュニケーションが減少し、脳に伝えられる情報が少なくなります。このことが全体的な脳機能の低下につながっていくと考えられています。
加齢性難聴を放置した場合にも脳への刺激が減少して、うつ病や認知症の発症リスクが上昇します。
補聴器を使用し聴力を補うことによって、脳への刺激や情報量を維持でき、脳の機能低下を抑制することができるのです。