WHOの提言

  WHOの推奨によりますと、聴力が大人で40B、こどもで30dBを閾値として補聴器使用の適用があるとされています。この場合、政府の補助が必要とされますが、具体的には個人の実情と必要性に合致する様に包括的に考えるべきだとされています。

  
高齢者の難聴は
うつ病や認知症の原因となりうるという認識がなされるべきで、治療による費用対効果が高いと指摘されています。   
 
  難聴を放置すると、コミュニケーション障害が生じ、社会活動が少なくなって、運動能力の低下や離職・うつ・孤立・認知症、そして脳萎縮・意欲低下・生産性の低下、医療理解やアドヒアランスの低下、ヘルスリテラシーの低下が生じる可能性があります。

  その結果、国家単位として捉えた場合でも、医療費支出の増加や納税額の低減等が懸念されているとされます。

  現在、世界では3億6000万人が生活に支障のある重度難聴者で、65歳以上では3人に1人が難聴者とされ、難聴全体での経済損失は年間7500億ドルと試算されています。加齢性難聴のような感音性難聴に対しては、今のところ補聴器装用か人工内耳手術を受けること以外で有効な治療法はありません。しかしながら、開発途上国では難聴者の3%以下のみしか補聴器の使用がなされていないという状況となっています。



  WHO の2016年理事会議において聴覚障害及び難聴の予防への新たなアクションプラン及び決議が策定されています。

  耳及び聴覚ケアについて世界報告書の作成、難聴予防と健康保険制度と統合した聴覚福祉機器の提供と専門研修の検討、安全な聴力についての基準作成や騒音予防が提言されています。





WHOの目標


  予防可能な難聴は予防し、避けられない原因による難聴である場合には、適正な介助と教育、社会的補助を施すことによって、その人の十分な能力を発揮できる世の中をつくること。


  その為には地域に根ざした継続的・包括的な耳・聴覚対策が必要で、これは各国のプライマリーヘルスケアシステムに統合されている必要があること。


  耳・聴覚ケアを推進するために、難聴予防、早期発見、早期治療、先天性難聴・幼児発症の場合への対策、障害発生後のリハビリケアや補助介助業務に集中して働きかけていくこと。



難聴対策プログラムの目標


  グローバルにエビデンスに基づく行動規範を作成すること

  政治的かつ財政的に、より一層聴力ケアへ働きかける提唱を行うこと

  難聴対策を国家のプライマリケアとして施行すること

  聴力ケアが促進される適切な方法を開発すること

  より良い聴覚ケアへ効果的な協力体制を作り、部門間の結びつきを強めること


難聴予防対策の策定

  
  難聴の状況把握用マニュアル

  国家計画立案・管理マニュアル

  難聴予防教育マニュアル


世界耳の日のトピック


  2019 難聴の自己診断

  2018 未来の聴力

  2017 難聴の対策

  2016 小児難聴





補聴器フィッティングガイドライン

  
適切にトレーニングされた人材と綿密なフォローアップが必要とされ、その地域でアクセス可能になっていなければならない。

  フィッティングについてはきちんとトレーニングを受けていて、難聴について知識があり、フォローが出来る人が必要である


生涯を通じた健康開発モデル

  高齢者の身体状態は人生の様々な要因に影響を受けた結果に表れてくる結果であると言え、ライフスタイルやその他の併存疾患、遺伝的性向や回復力、個別の危険因子や保護因子への罹患レベルに影響される。

  加齢性難聴に当てはめると、聴力は、遺伝因子や、感染症、耳毒性物質、騒音、喫煙、心血管疾患、その他の慢性疾患の影響を受けて、様々に低下していきます。

  その予防としては、危険因子の軽減:騒音コントロール、耳の感染症、適性な薬物治療、耳の適切なケアが必要と考えられます。また、糖尿病、高血圧と言った併存疾患の加療や、生活スタイルの改善が日々の栄養、禁煙、運動習慣等について必要になります。

リハビリテーションの選択
目的としては社会的職業的機能の維持
音の増幅(補聴器の選択)や環境側の働き掛け



  World report on hearing が 2020/5/17にリリース予定でしたが、遅れています。