加齢性難聴について

 加齢性難聴は、”蝸牛(耳の中にある音のセンサー部分)が加齢により生理的に変化する過程に伴い生じる聴力の低下である” と定義されます。

 両側、対象性で、20代以降少しずつ進行し、50代以降は高音部が明らかに低下して行くことが多いという特徴があります。

 その発生機序として、動脈硬化や神経感覚細胞の萎縮・変性現象や色素・コレステリンの蓄積、神経細胞のリソソーム活性低下などの関与が指摘されています。

 危険因子としては加齢による
蝸牛自体の老化、職業や趣味による騒音曝露や耳毒性薬剤の使用、そして経済社会的状況といった環境要因、性別・人種を含めた遺伝的性質、そして、高血圧・糖尿病等の併存疾患が上げられていて、高齢になるにつれ、また男性で有る場合、より加齢性難聴になりやすいとされます。


 老化に伴い生じる聴力低下は珍しい問題とは言えないものの、社会の年齢構成が変化し、超高齢化社会となっている現在、認知症やうつ病との関わり合いも示唆され、より注目されております。

 聞こえというものは、人が人として社会的・機能的・心理的により良く生きることに関係しています。よって、難聴をそのまま放置することは全くお勧めできません。

 加齢性難聴に対して理解し、その進行を和らげる方法について知っておくことはとても有益だと思われます。


 加齢による聴力の低下が認められる場合、病歴をお伺いし、聴力検査等の検査を行って、障害の程度を確認します。

 検査の結果、将来の聴力レベルを予測したり、補聴器の出力調整を行うのみではなく、社会からの孤立の程度や、認知力の低下、不安・うつも含めた生活の質自体の状況を評価する必要があります。

 そして、より良い社会生活が営める様に対策を講じていかないとなりません。