今まで、”補聴器は難しい。”と敬遠されていた傾向があると思われます。その原因についていくつか列挙してみました。
1. 難聴への理解不足
一概に”難聴”と言っても、治せるものと治せないものがあります。一般に、難聴のうちの”治せない難聴”が補聴器の適応・対象となります。
聞こえが悪くなったときに手軽に補聴器販売店に行って相談すると考える人は多いと思いますが、補聴器販売店では”治療が必要か?”、または”治せるか治せないか”について、正しい診断や治療は行えません。
まずは補聴器相談医で診察をお受け頂く必要があります。
2.補聴器契約に関するトラブルの存在
補聴器契約に関する相談が全国消費者センターに数多く寄せられており、年々増加傾向にあり問題になっております。
詳細は補聴器購入についての注意点をご覧下さいませ。
これらのトラブルを防ぐために、補聴器技師については認定補聴器技能者制度や聴覚の専門医について補聴器相談医制度が取り入れられました。
補聴器販売者・技能者に関わる取り組みとして補聴器営業所管理者の設置が規定されており、厚生労働省により補聴器販売者技能向上研修等も行なわれております。
3. 多すぎる補聴器メーカーと機種
補聴器利用者にとって、現在販売されている補聴器の種類が多すぎる事実をご存じでしょうか?
補聴器メーカーも機種も多種多様で、現在600種以上あるとされます。
その上、補聴器販売店によって取扱いをしているメーカー・機種が異なり、それぞれのお店では特定のメーカーの販売・調整しか出来ないという状況です。
機械自体が根本から異なりますので、その店で扱っている補聴器以外の調整については、確認したくても全く何もできない状況となっています。
4. 不十分な使用時の調整
補聴器の使用開始後にも調整(フィッティング)が必要になり、これは繊細な作業となります。
少し聴いただけで自分に合った補聴器となることは困難で、人それぞれに、使用時の聴力や使う場所といった経験に合わせて調整が必要となります。
統計によりますと、64%の方が補聴器の使用に満足するまでに3回から10回の調整が必要でした。
フィッティング作業では、調整→確認→再調整が繰り返され、装用者の慣れも必要になりますので、やり取りにある程度の時間がかかります。
補聴器を調整する側の知識や経験・技能によっても、最終的な聴こえが異なることもあります。
4. 聴き取りには慣れが必要
補聴器装用では慣れるまである程度の時間がかかります。
機種により使用開始当初は、生活音が大きく感じられて煩わしいこともあるかも知れません。しかしながら、多くの方では次第に慣れて気にならなくなります。
補聴器装用のメリットを実感して頂きつつ、少しずつ補聴器を利用した生活に慣れて行かれる様にお過ごし頂きたいと思います。