アレルギー性鼻炎

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アレルギー性鼻炎


 吸入性アレルゲン(アレルギーの原因物質)に対しての
1型アレルギー反応で生じる鼻炎です。症状としては、くしゃみ・水溶性鼻水と鼻閉が三大症状となります。時折鼻出血を認めることもあります。

 小児でよく認められるアレルゲンとしてハウスダストやスギ花粉が挙げられますが、イネ花粉症も最近ではよく認められます。


 発生の機序として、まずアレルゲン感作といって、からだの中で各アレルゲンに特異的な
IgE 抗体が産生される様になる事から始まります。アレルゲン感作の成立にはアレルゲンへの曝露に加えて、大気汚染等の外因や個人的素因も関係しております。遺伝の影響については多因子が関連しているとされ、まだ完全には解明されていません。

 感作成立後にアレルゲンを再吸入すると鼻粘膜表面の好酸球・肥満細胞という免疫に関与する細胞で抗原抗体反応が起こります。細胞から脱顆粒現象といってヒスタミンやロイコトリエンなどという化学反応物質が放出されて様々な症状が引き起こされるのです。

 ヒスタミンは主に短時間で反応を生じて、くしゃみや鼻水等を起こします(即時相反応と言います)。一方ロイコトリエン等は放出された後、ゆっくりと反応を起こし、主に鼻閉を生じさせます(遅発相反応といいます)。

 アレルギー性鼻炎につきましては当院の舌下免疫療法についてのサテライトページもご参照下さい。



 アレルギー性鼻炎はその症状の出現時期により季節性と通年性に分けられています。

 季節性アレルギー性鼻炎は各種花粉症が代表的で流涙や目の痒み等の眼症状が通年性のものと比較して強く認められる事が多く、通年性アレルギー性鼻炎は、ダニやハウスダストにより生じます。どちらも症状が強い場合にはいびき・口呼吸による睡眠障害を認める場合があります。

 スギ花粉症などの季節性アレルギー性鼻炎は学童の3040%に感作が認められており、数年に一度の大量飛散時に特に症状が強く認められています。

 診察では鼻鏡検査にて下鼻甲介粘膜等を確認致します。小児通年性アレルギー性鼻炎では下鼻甲介粘膜は水腫様に腫脹し蒼白となります。季節性の場合は同様の所見を認めることがありますが、発赤腫脹することもあり、特徴的な所見は無いとされています。
 
 診断には
感作アレルゲンの同定と鼻汁中好酸球検査または鼻粘膜誘発反応が必須とされ、問診で絞り込んだ上で、血液から血清中アレルゲン特異的 IgE 抗体の有無を確認します。鼻汁好酸球の確認はハンセル染色にて行います。(季節性アレルギー性鼻炎ではシーズン中に鼻汁多量となり好酸球の確認が困難なことがあります)

 アレルゲン関与が無い場合、血管運動性鼻炎との鑑別が必要になります。アレルゲン特異的 IgE 抗体が同定されず、鼻汁好酸球検査も陰性となるものやアレルゲンが見つからずに鼻汁中好酸球増多を認める好酸球増多性鼻炎も稀ですが認められます。



 治療として通年性アレルギー性鼻炎では室内環境の調整を第
1に行います。掃除を積極的に行い、空気清浄機等を使うことで症状の軽減が期待できます。薬物治療は対症療法となりますが、経口抗アレルギー薬や鼻腔噴霧ステロイド薬を使用します。
症状が強い場合、慢性副鼻腔炎を併発する事があり注意が必要です。

 いわゆる花粉症・種々の花粉に対するアレルギー性鼻炎の場合、花粉情報やマスク・メガネの活用によりアレルゲン回避を行うことが大切です。また、飛散初期から計画的に内服を行なう初期治療により、花粉大量飛散時の突発的な症状増悪を予防することが可能となり、飛散シーズンを安定した状態でお過ごし頂くことが可能となります。
 シーズン極期には成人では経口ステロイド薬を含む薬剤を用いることがありますが、小児の場合には副作用の観点から限界があります。鼻閉が強い場合には種々の薬剤を組み合わせて使用したり血管収縮薬の点鼻投与や漢方薬の併用等が行われます。

 その他、外科的治療として小児においても下鼻甲介粘膜切除術や鼻粘膜焼灼術を行うことがあります。

 免疫療法(減感作療法)も行われています。これまでは皮内注射での投与となっていたため、加療期間が長いことや副作用の危険性などから必ずしも積極的に治療されていませんでした。
 しかしながら平成26年10月より新たな免疫療法としてスギ花粉症に対する舌下免疫療法が
開始されており、有効性が確認されています。小児では13歳以上で対象となります。また、新たにダニに対しての舌下免疫療法も施行開始となっております。

 アレルギー性鼻炎につきましては当院の舌下免疫療法についてのサテライトページもご参照下さい。


おはなのけんさ方法

  1. 目で見てかくにん
     お鼻の粘膜の状態や、鼻水の性状・鼻腔のつまり具合、鼻中隔の状態等、様々な部位の状況を確認致します。

  2. 内視鏡でかくにん
     お鼻の中は奥まで広く、非常に立体的で複雑に入り組んでいますので、外からだけでは分からない部分もあります。お鼻の中に内視鏡を入れて、お鼻の中の様々な部位を確認致します

  3. 細胞や細菌の状況をかくにん
     鼻水そのものや、腫れている部分の細胞や組織を取って、どのような細菌が感染しているのか、またはどのような状態の変化が認められるのかを確認します。

  4. 刺激してかくにん
     匂いの物質を嗅いでみて、匂いを正確に感じることが出来るのか確認します。また、アレルギーの原因物質を使用して刺激を行い、反応が誘発されるのかを確認致します。

  5. その他のかくにん方法
     必要に応じてCTやMRIといった画像検査を行い、アレルギー性疾患が疑われる場合には採血して検査を行うことがあります。


(このHPは小田原市JR鴨宮駅、ダイナシティウエスト北側駐車場に面したゆげ耳鼻咽喉科の”子供の病気と耳鼻咽喉科”についてのサテライトHPです。)