補聴器の種類

  補聴器はあらかじめ精密な検査と診断を行い、適切な補聴器を選定する必要があります。

  使用開始後も定期的なメンテナンスが必要となり、その効果を利用して、過ごしやすい生活をお過ごし頂く事が望まれます。

 ここでは、補聴器の種類と特徴、その選び方について解説しています。



補聴器の種類

  補聴器とは聴力を補う為に作成された電気音響増幅機械とも言えます。基本的にマイクロホン、増幅器、音量調整装置、出力制限装置、イヤホン、電源によって構成されます。

1.電気回路構成による分類

a.アナログ補聴器   

  補聴器の基本構成成分を総てアナログ素子で構成するもので、従来使用されていたものです。

  信号の増幅や調整・音質の調整を総てアナログ処理で出力しています。

b.デジタル補聴器

  現在はデジタル補聴器が主流となっております

  補聴器の構成成分にA/D変換器、中央演算装置(CPU)、デジタルシグナルプロセッサー、D/A変換器などのデジタル素子が加わることで、音声信号をデジタル処理し、ハウリングの抑制のみならず、雑音の抑制や指向性の獲得、リアルタイムでの音声信号の圧縮・伸長、その他様々な加工が可能となりました。




2.形状による分類

a.耳穴型

  耳の穴に差し込んで使用するタイプです。

  オーダーメイドタイプとレディーメイドタイプの2種類があり、オーダーメイドタイプでは全体を外耳道内に差し込んで使用し、個人それぞれの耳の形や聴力像に合わせて形状や音響レベルを調整することが可能です。

  レディメイドタイプは先端部分に耳栓が付けられるように設計されています。

現在、同じ耳穴型補聴器でも様々な大きさの製品が販売されております。

i.外耳道内完全装着型(CIC型)

  軽量・小型の機械が完全に外耳道内に収まる様に使用するタイプで、他人に気づかれず、長時間の使用でも違和感が少ない等の利点があり、最近増加傾向にあります。

ii.目に見えない耳内型(IIC型)

  更に耳穴の更に奥深くに入れることで外からはほぼ見えなくなったタイプです。

  オーダーメイド補聴器の特徴と耳が本来持っている特徴を最大限に生かし、鼓膜直近での装用になるために、耳介が持つ音を集める効果と外耳道で音を増幅する効果を利用できることから、より自然な音を聞くことが可能となります。

  高度難聴の方でも一部使用可能ですが、耳の穴が小さい人には使用出来ない場合があります。


b.耳かけ方

  弯曲した細長い補聴器を耳介に引っ掛け使うタイプです。耳内型に比較し大きいことから様々な機能が組み込めることと、操作性が良く、軽度から高度の難聴まで対応が可能で、現在普及しています。

  使い始めたばかりの方でも簡単に操作でき、最近では閉塞感を低減したオープンタイプの耳栓を使用するものや、外耳道内レシーバ式耳かけ型(RIC型)といって、イヤホンが耳栓の内部に移動し、耳介後部の本体の小型化に成功したものがあります。

  小型極軽量のもの、補聴器から音を伝えるチューブが1mm程度まで細くなった機種、更にデザイン面でも優れたものが開発されております。

  また、聾学校等の教育用としてワイヤレス交信可能なFM補聴器というものもあります。

c.ポケット型

  マッチ箱程度の本体をポケットに入れ、イヤホンをコードでつないで耳に差して使用します。

  比較的安価であることと、操作が簡単なので初心者の方でも安心して使用出来ます。また、高出力が得られ、重度難聴者や高度難聴者にも対応しています。

d.骨導型

  骨導振動子をメガネの柄に内蔵したメガネ型骨導補聴器があり、メガネを付ける様に使用出来ます。音声を振動に変えて直接骨を振動して内耳に伝えることで、補聴が可能となっています。   

  機種が少なくデザインが選びにくいことが難点でした。

  最近ではヘッドホン型やカチューシャタイプの骨伝導器も販売されている他、埋込式の骨導振動子を側頭骨に手術で取り付けて使用する機種も国内で一部使用されております。

  また、耳後部に補聴器のマイクを取り付けると同時に上顎奥歯に無線レシーバーを装着して、マイクで拾った音をレシーバーに送信し骨導で内耳に伝える外科手術の必要の無い、脱着可能な骨導補聴器も開発されています。

  米国FDA認証やEUのCEマークにも認定された現在、これから日本でも普及が期待されています。