加齢性難聴を放置するリスク

  加齢性難聴があるレベルに及び始めると、音の聞こえが悪くなることから周りの人々の言っていることがはっきりと聞き取れない・理解出来ない、何度も聞き返さなくてはならなくなるなど、人としてのコミュニケーションに問題が生じ始めます

  それに加えて、テレビやラジオの音が大きいと周りの人から指摘されたり、周囲の人々との共同生活にストレスを感じ始めることとなります。


 


  次のような状況となると、生活の質(QOL:Quality of Life)が著しく障害されている状態だと言えます。

とても話し好きだったおばあちゃんが、聞こえが悪くなり始めてから
話をしなくなった。

社交的なおじいさんが、聞きなおすことがいやになり
人と会いたがらなくなった

隣のおじさん、まだまだ元気なのに、いつも楽しみな
外出を嫌がるようになった

おばあちゃん、食事の後に一緒にテレビを見ていても、
最近全然理解出来ていない。会話に入れなくなって、部屋に引きこもっているわ。

  
  米国では聴力低下により、
平衡感覚にも障害が生じ、つまづきや転倒等のリスクが高まるという報告もなされています。難聴のある方とない方との比較で、約3倍の転倒リスクがあると報告されています。

  転倒が起こると、骨折して寝たきりになるなどの重篤な後遺症が生じたり、頭を打って生死に関わる状況も引き起こされる可能性が有るなど、注意が必要となります。


 


  近年の研究では
難聴が認知症やうつ病に難聴が深く関わっていることが示唆され、コロラド大学が行った研究では、難聴を放置することで、認知症の発症リスクが軽度で約2倍、中等度で3倍、重度の聴力低下で約5倍になると報告されています。

  
脳の萎縮についても、難聴を放置した場合に萎縮が通常より早く進行することが報告されています。これは聴覚低下により脳に対する情報伝達量が少なくなるため、刺激減少にて神経細胞が衰え始めることが原因であると考えられています。   

  2017年にAAIC(国際アルツハイマー病会議)から、
「認知症を予防できる原因の中で、難聴は最も大きな因子である。」と指摘され、難聴は認知症発症への大きなリスクであると認識されています。   

  難聴を放置した場合、外部からの情報や刺激が低下し、多くの健康リスクが生じていきます。

  
人生100年とも言われる現在、これからも健康・安全に毎日の生活を送って頂くためにも、少しでも聞こえが悪くなったならば、早期に検査を受けて頂き、治療を開始されることが求められています。