スギの植林について

 スギ、ヒノキは、日本を代表する主要な造林樹種であり、その形質に優れ加工しやすいこと、成長が早いことなどから、古くは奈良時代から広く利用されていました。

  戦時中及び戦災復興需要に伴う伐採跡地の復旧や経済発展に伴い増大した木材需要への対応など、各時代の国民的ニーズや社会・経済的要請に応えるため、スギ、ヒノキの造林は推進され、これらの人工林は、木材資源であると同時に、国土の保全や地球温暖化の防止、水源のかん養等の多様な 公益的機能を発揮してきました。

  現在、日本の国土面積(3779万ヘクタール)の約7割を森林面積(2508万ヘクタール)が占めており、そのうち、人工林面積は、1029万ヘクタールで、森林面積の約4割となっています。

  この内、スギ人工林は、448万ヘクタールで森林面積の18%、人工林面積の44%を占めています。 (H24.3.31現在)

 スギは植栽後10数年経つと雄花が出来はじめ、本格的に花粉が生産されるのは、早くて25年、通常は30年と言われています。

  戦後、スギの植栽を進めてきたことにより、花粉を生産する31年生(7齢級)以上のスギ林の面積は、平成24年度(2012年)で419haとなっており、平成2年(1990年)の177haから約2.4倍に増加しました。

  このことから、スギの雄花の着花量(花粉生産量)についても増加傾向にあると推測されますが、着花量は気象条件等により毎年変動するため、花粉飛散量も年によって大きく変動しているところです。



スギ林は、木材資源であると同時に、国土の保全や地球温暖化の防止、水源の涵養等の多様な公益的機能を有しており、これら公益的機能を持続的に発揮させるために、一度に伐採して植林を行うことは好ましくないとされています。特に、地球温暖化防止の観点からは、スギは最も成長量が大きく、二酸化炭素の吸収量が多い樹種のひとつとされます。

このため、森林・林業基本計画に基づき伐採された森林について、順次少花粉スギの植林や広葉樹の導入などの多様な森林整備を行うことにより、公益的機能を維持しつつ花粉の少ない森林への転換を進めていくことが必要と考られています。

また、
林野庁では、花粉発生源対策として、花粉生産量が一般的なスギに比べ約1%以下という特性を持つ少花粉スギ等の花粉症対策品種の開発や苗木の普及等を通じて、花粉の少ない森林(少花粉スギや広葉樹林など)への転換に取り組んでおり、
他方、近年大学や研究機関等において、薬剤を使用してスギの雄花を枯死させるなどといった試験研究が行われており、いくつかの薬剤にその効果があることが明らかにされてきています。

林野庁HP