症状

耳漏
 外耳道から排泄される分泌物の総称 
 様々な疾患で生じる
  耳垢 
   湿性耳垢体質の場合、黄褐色の耳漏として流出する可能性
  
外耳道炎 
   漿液性(外耳道湿疹、びまん性外耳道炎)
   膿性(外耳道癤)
   粘液性のものは少ない
  
中耳炎
   炎症の程度・時期により漿液性・粘液性・膿性・血性等
   耳漏が出るまでの期間は通常2、3日
   抗生物質使用により、耳漏出現は大幅に減少
   真珠腫形成性中耳炎では、耳漏に悪臭

 耳漏の量 
  疾患の広がりにある程度関係
  1日数回以上清拭が必要な場合は乳突洞よりの分泌も疑う





耳痛
 外耳、中耳の炎症、異物、外傷による
 耳癤、急性中耳炎、急性乳様突起炎による耳痛が多い
 耳疾患を思わせる所見が見当たらない場合
  顎関節や歯など顎・口腔領域の疾患
  
副鼻腔特に上顎洞や後部篩骨蜂巣の疾患
  
扁桃領域、喉頭頸部領域の疾患からの放散痛(関連痛)
          
 耳神経支配に関係する神経
   
三叉・舌咽・迷走神経の支配領域
   
第1~第3頸神経、交感・副交感神経
   近い部分の臓器から痛みが放散することあり
 舌咽神経痛の発作時・Ramsey Hunt 症候群・Bell麻痺では顔面神経麻痺に先立って、耳痛を生じることあり
 変形性頚椎症などで訴えることあり

耳疾患と頭痛

耳周囲腫脹

発熱
 外耳疾患
  発熱は軽度であることが多い。
 
急性中耳炎
  39度前後の弛緩熱が現れ、
膿汁排泄により寛解
  膿汁が排泄されても解熱せず、高熱を発する時
       
乳様突起炎などの合併症の存在を疑う
 
慢性中耳炎
  急に高熱を発した時は静脈洞炎、髄膜炎などの合併症を考慮

耳閉感
 外耳・耳管・中耳・内耳・内耳道などの疾患で耳閉感を生じることがある。
 外耳疾患
  
耳垢栓塞、外耳道異物、外耳道真珠腫など
 耳管疾患
  
耳管狭窄症、耳管開放症など
 中耳疾患
  
滲出性中耳炎、急性中耳炎
 内耳疾患
  
メニエール病、内耳炎、突発性難聴、外リンパ瘻.音響外傷.薬剤性難聴など
 後迷路性疾患
  
聴神経腫瘍、嚢胞、その他脳腫瘍
 
顎関節疾患でも耳閉感を訴えることあり





難聴
 伝音難聴
  外耳より中耳伝音系までの障害
 
感音難聴
  蝸牛及びそれより中枢側の障害

 混合難聴
 心因性難聴

難聴の程度
 軽度難聴 10~30dB 30dB
   難聴に気づくようになる。
   ささやき声が耳元でなければ聞こえない程度
 
中等度難聴 31~60dB
   
会話中聞き落としがあり、やや不自由も感じる
   対面しての会話は可能。
   60dBとなると大声でないと通じにくい。
 高度難聴 61~90dB
   聞き落としが多く会話はほとんど不可能。
   耳元に口をつけて話しかける必要がある。
 聾 91dB 以上 
   言語音・環境音は聴取不可能

めまい、眩暈
 周囲の回転感覚を伴うめまいのほか、いろいろな平面上における運動幻覚を表す場合、運動感以外に自覚的な聴力視力思考力低下などを伴うめまい感、ふらつき、よろめきなど平衡障害を含むもの.
 目の前の暗くなる感じ、嘔気、失神ないし不快感、頭が急に軽くなる感じも含まれる。

 めまいの性質
  1,回転・浮動・上下・前後など何らかの運動感を伴うもの
  2,身体の平衡が取りにくい不安感
  3,頭から血の引く感覚、暗くなる感じ、嘔気





 めまいの発生
  身体の平衡は末梢からの様々な刺激により保持されている。
   a.
網膜よりの求心性刺激
   b.
迷路からの刺激
   c.
眼筋、頸筋、体幹や下肢の筋、関節よりの総合的刺激
  上記を脳において
無意識下で統合することで保持される。
  めまいはこれらの末梢及び中枢連絡気候の中のどこかに障害が起こったとき、意識に広がる異常な知覚ということ

 原因と分類
  大きく
前庭性と非前庭性に分けられる。
  前庭性はさらに中枢性と末梢性に分けられる。

 
眼振
  めまいの
他覚所見としてある程度指標となる
  
末梢性自発眼振
   中枢性のものに比べ細小で方向一定性のことが多い
   頭位眼振には疲労減少が認められる。
  
中枢性自発眼振
   粗大であるにかかわらず、めまい感も伴うことが多い
   頭位により方向交代性のことが多い
   眼振は斜行性・垂直性・純粋水平性、純粋回旋性
         注視方向への粗大眼振があることが多い





みみなり、耳鳴
 耳鳴の分類 (Flower)
  
非振動性耳鳴  
   音響刺激なしに生ずる音感覚 
   聴覚伝導路を含む聴器のどこかに生じた
          
機械的・化学的刺激が原因と考えられる
   神経に及ぼす圧力(腫瘍、動脈瘤、血管壁の硬化等)
   細菌毒素、薬物中毒、血流不足等
   蝸牛感覚上皮・神経線維等の刺激に対し興奮性を変化させ、          正常では影響の無い圧力が異常感覚を生じる
   自覚的耳鳴ともいわれる
  
振動性耳鳴  
   筋肉運動や血管の変化により生じるもの。
   耳小骨筋や口蓋帆挙筋の攣縮による間欠音
   血管性雑音(重症貧血・脳底動静脈瘤・その他変形、拍動性)
   他者へ聞こえる場合あり
   他覚的耳鳴ともいう

耳鳴の性質
 多種多様である。
  風の音、セミの鳴く音、モーター音、鐘の音、ザー、
     シャー、ピー、チー、パチパチ、ポコポコ、カチカチ等
 外耳~中耳の病変の場合、病態の治癒とともに消失
 内耳に病変波及した場合、耳鳴持続することあり
 内耳~大脳皮質までの聴覚路のどの部位の障害でも生じうる
 
原因部位診断は諸検査結果を総合し判断、時に困難

原因疾患
 外耳疾患 
   
耳垢栓塞、外耳道異物
 中耳疾患
   急性及び慢性化膿性中耳炎、上鼓室炎 耳硬化症
 内耳疾患
   
内耳炎、突発性難聴、メニエール病、薬物障害、
              老人性難聴、騒音性難聴、梅毒
 後迷路性、中枢性障害
   
聴神経腫瘍、嚢胞、くも膜炎、髄膜疾患等
 全身疾患
   
循環器障害、血液疾患、代謝障害、更年期障害、全身衰弱等





神経麻痺及び神経痛
 慢性中耳炎により顔面神経麻痺
 極めて稀に、錐体先端化膿症にて外転神経麻痺、三叉神経痛