人工中耳と人工内耳

人工中耳
 慢性中耳炎・癒着性中耳炎・中耳炎後遺症等の疾患
 鼓室形成術や補聴器装用でも聴力改善が見込めない場合に適用
 伝音・混合難聴に適応
 鼓膜や耳小骨の機能を代替

人工内耳
 聴器を電気刺激し、聴覚を生じさせる
 電気聴覚
  二つの機序
   electroneural hearing
    直接聴神経を電気刺激し聴覚を生じる
   electrophonic hearing
    電極が蝸牛に近い時、電気刺激が内耳液を直接機械的振動させ聴覚を生じる
 音声等の情報はスピーチプロセッサーで分析されて電気信号として送信コイルに送られる
 体内に埋め込まれた受信ユニットが信号を受ける
 電気刺激パルスとして蝸牛内に挿入されたチャンネル電極を通じ蝸牛神経を刺激
 術後リハビリテーションが必要
  後天性の言語習得後失聴患者の多くは読話しつつ通常会話が可能となる
  先天性難聴でも1歳半~4歳程度までに人工内耳装用開始で聴覚認知・言語発育良好





高度難聴とリハビリテーショ
 両側外耳道閉鎖症・中耳奇形で生じる伝音性難聴
   70dB程度の低下を示すが、放置するとことばの発育が遅れる
 骨導補聴器や耳掛け型骨導補聴器を使用し聴能訓練
 先天性両側感音難聴では、早期発見し、3歳までに補聴器装用開始
 聴能訓練を併せて施行
  聾学校やリハビリテーションセンター等で読話と聴覚訓練
 聴力低下高度の場合、人工内耳手術を5歳までに行い聴能訓練
 後天性難聴の小児の場合、補聴器を使用
  効果が乏しい場合、人工内耳手術を考慮
 失聴期間が短く、年齢が若いほど効果は期待可能
 高齢者聴力低下でもコミュニケーションに有益な事が多い
 神経線維腫症Ⅱ型で両側聴神経腫瘍の場合
  両側聴力廃絶時に聴性脳幹インプラントを留置
   蝸牛神経核付近の脳幹表面
  聴力を再獲得可能

聴覚失認・皮質聾
 小児ではヘルペス脳炎の後遺症
 成人では反復脳血管障害
 左右の聴皮質や聴放線が障害され生じる
 認知障害であり、筆談よるコミュニケーションが中心となる
 補聴器無効