睡眠時無呼吸症候群についての診察 問診 睡眠時無呼吸症候群が疑われる場合、いびきの有無や無呼吸の自覚、日中の眠気、既往歴などに関して、まず問診をさせて頂きます。 症状は睡眠中に起きておりご自身で病態を適確に捉えることが出来ないことが多く、ご家族から状況を聴取させて頂くことがあります。宜しければご一緒に受診して頂く様お願い致します。ビデオ撮影も時に有効です。 いびきのみが気になる方もおられますが、その他、無呼吸の有無や併存する症状、日中の居眠り、起床時ののどの痛み、仕事での不注意・事故の経験等が参考になります。家族歴では血縁者のいびきの有無についてや下顎の形態等についてが参考となります。 肥満の有無・体重変化や高血圧、糖尿病、高脂血症等の生活習慣病について、又は甲状腺機能低下症・末端肥大症等の内分泌疾患についても確認させて頂いています。 特に小児では睡眠時の陥没呼吸や日中の注意力の低下・学業成績低下、発育障害、行動障害、夜尿の有無などが参考となります。 診察 多くの場合、上気道(鼻、咽喉)に原因があるため治療開始前には耳鼻咽喉科医による診察が有益です。 上気道を詳細に評価することで睡眠検査を行う前に睡眠呼吸障害の有無や重症度の予測を行います。上気道の評価の後に適切な対応をすることでCPAP治療や歯科保存治療の効果をより望ましいものにすることが可能です。 より具体的には下記等について確認致します。 1.視診:口蓋扁桃と軟口蓋の状態の確認 a.口蓋扁桃肥大の確認 口蓋扁桃肥大について、その程度によりI度肥大、II度肥大、III度肥大に分類します。 b.軟口蓋所見の確認 軟口蓋、口蓋弓と口蓋垂(のどちんこ)、舌等の位置関係を把握します。 開口時と発声時に確認し、正常型、境界型、軟口蓋低位型に分類されます。 2.ファイバースコープによる検査 ファイバースコープによる検査が行われる事があります。痛みはほぼ無く、1-2分で終わります。(腫瘍性疾患やアデノイド、その他各種の鼻・咽頭の形態異常の存在が疑われる場合には追加検査・治療が必要となる事があります。) 鼻・副鼻腔についてはアレルギー性鼻炎・鼻茸・副鼻腔炎・肥厚性鼻炎・外鼻孔狭窄・その他鼻腔形態異常等の病態の有無と局在部位・程度を確認します。 上咽頭については、アデノイド・上咽頭腫瘍・後鼻孔閉鎖等の有無と程度が確認されます。 中咽頭については、口蓋扁桃肥大・軟口蓋形態異常・咽頭腫瘍・咽頭筋麻痺・咽後膿瘍等の有無について確認します。 下咽頭・喉頭については、喉頭軟化症・喉頭蓋浮腫・奇形・咽頭麻痺等の有無と程度について確認します。。 3.睡眠検査 次いで、実際の睡眠検査の流れです。 a.簡易検査 問診で睡眠時無呼吸が疑われた場合にはまず簡易検査を行います。 貸し出しの機械にてご自宅でいびきや呼吸状態を確認します。検査から結果まで最短でも1週間程度を要します。 お家で夜に普段通り寝る状態となってから、手の指と鼻孔にセンサーを取り付けます。指のセンサー(パルスオキシメーター)は血液内の酸素飽和度を調べ、鼻孔に付けるチューブは呼吸気流を把握して気道狭窄やその程度を調べています。いびき音や体動を感知するセンサーも付属しており、無呼吸の回数や持続時間を調べることができます。 簡易検査使用時の注意点 説明リーフレットを確認して、センサーの取り付け、スイッチの開始・停止について再度御確認下さいませ。 センサーが外れると、再検査が必要になります。しっかりテープで固定して下さい。検査終了時にもボタンを押すことをお忘れ無く。 睡眠時間は少なくとも4時間以上が必要です。(睡眠時間が短いと情報量が少なくなり正確な判定が出来ない可能性があります。) 普段と同じ状況での記録です。普段、飲酒・喫煙をされる方は普段通りに行って下さい。 結果判定 検査結果は機械を診療所受付へ御返却頂いた後、1週間以降での再診時に説明させて頂いております。 重症と判定された場合ではすぐ治療開始となることがあります。 中等度異常の場合では更により詳細な精密検査が必要となり、脳波や睡眠深度などについて含め状態を確認することとなります。 b.精密検査 終夜睡眠ポリグラフ(PSG)検査とも言い、さらに詳しく睡眠・呼吸状態を調べる場合に行う検査です。 多くの場合、医療機関に入院して行います。当院の場合は宅配検査サービスを利用して施行して頂いております。 今までは検査の為に1泊入院となっており、日常生活への影響を減らすため夕方に入院して夜間に検査を行い、翌朝には退院出来る形で施行されていました。 現在はご自宅に機械が送られ、1週間以内に1晩検査を行って頂き、同封の着払い伝票を利用してコンビニエンスストアから返送して頂いております。 主な検査項目 体に下記センサーを取り付けます。痛みはありません。睡眠中に検査終了し、結果は医師が確認し最終判定となります。 口と鼻の気流(空気の流れ) 血中酸素飽和度(SpO2) 胸部・腹部の換気運動 筋電図 眼電図 脳波 心電図 いびき音 睡眠時の姿勢 状況により、、ビデオカメラでの撮影 この睡眠PSG検査では、上気道呼吸抵抗症候群、むずむず足症候群等の簡易検査で検出不能な睡眠障害も診断可能です。 検査費用 睡眠時無呼吸症候群の検査は健康保険適用内です。 (PSG検査を仮に入院して行う場合は個室での検査となり、医療機関により差額ベッド代等が必要になる事があります。) 3割負担の方の検査費用の一例 簡易検査(パルスオキシメトリーその他) 750円 簡易検査 (当院での貸出検査) 2160円 PSG検査 (宅配機械での検査) 10710円 検査結果と治療 検査にて閉塞性睡眠時無呼吸症候群と診断された方は次の治療を行うことがあります。全て保険適用内です。 治療方法の決定については症状や状況を考慮し決定されます。治療開始後は定期受診が必要で、治療効果を定期的に確認させて頂くことになります。。 睡眠時無呼吸症候群についての治療 1.CPAP療法 鼻から気道に空気を送り続けて気道を開存させる装置を利用して治療します。 2.マウスピース治療 連携する歯科医院にて作成しており、ご希望の方はご紹介差し上げます。 下顎を上顎より前方に突出させて固定するマウスピースを作成して使用します。 下顎を前方固定し、気道が広く保たれることで効果を発揮します。 3.外科的手術 主に気道を閉塞させる原因となる部位を取り除く方法です。 小児の多くや成人の一部で行われています。 4.減量 上記に平衡して減量治療を行います。詳細は、CPAPの積極的離脱と減量をご確認お願い申し上げます。 治療にかかる費用 睡眠時無呼吸症候群の治療には健康保険が適用されます。 最も普及しているCPAP治療の場合、月額4,500-5000円程度のご負担となります。 以下は治療法の詳細です。 CPAP(シーパップ)療法 閉塞性睡眠時無呼吸症候群に有効な治療方法で、欧米や日本で最も普及している治療法です。 経鼻的持続陽圧呼吸療法“Continuous Positive Airway Pressure”の頭文字を取り“CPAP療法”といいます。 機械で鼻から気道へ持続的に低圧の空気を送り続けることで気道を開存させることが可能で、これが治療となります。 機械→エアチューブ→マスク→鼻→上気道と空気を常に送っている状態では寝ている間も気道が閉塞せず、呼吸が可能となります。(機器設定が適切で、マスクが正確に装着されていれば、普通に眠れます。) 機械が使用し難い方では医療機関に1泊入院し機器設定を行う場合もありますが、基本的には適正圧力を自動調整する機能が機械に付いてます。 CPAP 装置は現在の保険制度下では医療機関からのレンタル使用になります。機器の保守管理、マスク・チューブなどの消耗品は受診料金に含まれており、連携する機器会社と共に対応させて頂いております。 呼吸不全等がある場合、CPAP治療を慎重に行う必要があります。特に、肺嚢胞がある方は機械の利用はできません。中枢型無呼吸の方にも効果が期待できないために、別の治療法をお勧めしております。 稀ですが機械を海外から自費購入される方がおられます。劣化する付属機器の交換・機械のバージョンアップ等で十分に対応出来ない場合があります。 機械の使用について 様々な他の電気製品と同様で、コンセントにつなぎスイッチを入れます。持ち運び可能な大きさです。 毎夜の使用となるため、CPAP装置やマスクの衛生管理も必要となり、特に鼻マスクは顔に直接当たる為、小まめなお手入れが大切となります。付属の説明書にて確認の上、CPAP機器・マスク・エアチューブ等について適切にお手入れされる様にお願い致します。 夜間就寝時の使用と基本はなりますが、お昼寝の場合にもご使用頂くことをお勧めします。 旅行に行かれる時や入院する場合も可能であればご使用くださいませ。毎晩最低4時間以上の使用が推奨されております。 マスクの選択について 年齢や性別・顔面形態を考慮しつつ個人に合うマスク選定を行います。 額の角度や広さ・大きさ、鼻の形態・大きさ、鼻の下の長さ等を考慮します。 鼻マスクが使用し難い場合や装置の送気圧に慣れることができない場合、フィッティングを再度行いマスクの種類や機器設定を変更することで改善が期待できます。 体の不自由な方やご高齢の方の場合、装着が簡単なマスクを選択することがあります。 マスクの種類について 鼻タイプ・鼻孔タイプ・フルフェイスタイプの3タイプがあります。 鼻タイプは最も一般的で、鼻のみの全体を覆います。 空気漏れ(リーク)が最少で装着感も安定しています。ベルトを強く締め過ぎると鼻根部にマスク跡が残ったり問題が生じたりすることがあります。 鼻孔タイプは鼻腔に直接差し込むため皮膚にマスク痕が残ることがなく、顔への圧迫感が少なく、視界が良い長所があります。一方、寝返りでずれや漏れが生じ易い欠点があります。鼻中隔彎曲症の方で鼻出血の原因とならないように注意が必要です。 フルフェイスマスクは鼻とともに口も覆うマスクです。鼻呼吸が困難な場合に選択されます。 寝返りの多い方には密着度がある鼻タイプ、アトピー性皮膚炎等敏感肌の方では皮膚接触が少ない鼻孔タイプをお勧めすることがあります。これらが困難な場合にはフルフェイスマスクを考慮致します。 機器の送気圧設定について CPAP療法の送気圧設定には大きく分けて、固定タイプ、オートタイプ、bilevelタイプの3タイプあります。 固定タイプでは確定した固定圧(適正処方圧)を上限に下限圧から徐々に送気圧を上昇させて一定圧を睡眠中維持させます。適圧であれば圧漏れを気にすることがなく、機械・マスクを比較的選ばずに使用できます。欠点として固定のため種々の条件変化(体重変化、アルコール摂取、睡眠薬・抗アレルギー剤の使用等)に対応できず圧不足となることがあります。 オートタイプは上下限圧間で必要に応じ圧力を変動可能とするものです。変動幅が様々な条件に対応可能となります。欠点として呼吸パターンが会わない場合があることとマスク漏れについて考慮する必要があることが挙げられます。 過度な最大圧設定時にマスク漏れから必要以上に圧が掛かり心血管系に負担がかかる事があります。早期離脱の原因になったり、最悪心不全を発生させて中枢性無呼吸になることも生じ得ます。 bilevelタイプは、呼気、吸気それぞれの圧を固定で設定するものです。 送気圧設定については、骨格・肥満度・口腔咽頭所見・上気道の状況・AHI・酸素飽和度の低下状況等から必要な圧を推測し設定しています。入院の上で行うこともあります。(厳密な適正圧設定にはPSG(終夜睡眠ポリグラフィ)を検査技師等の監視下で入院にて行うことが推奨されています。手動遠隔操作で圧力調整すると、どの睡眠段階・体位でも睡眠時無呼吸・低呼吸、覚醒反応、呼吸努力等が消失する圧を設定可能です。) 自宅での簡易検査の後、結果に応じてCPAP療法をすぐ開始することがあり、この場合、主にオートタイプ機器を選択しています。 口腔・咽頭所見や簡易PSGの結果から暫定的な圧設定を行い、経過により設定圧・マスクの微調整・機器変更を行い適正圧を探します。オートから固定タイプに切り替えることも時に行います。 CPAP装置のメモリーカードには送気圧の変動状況や無呼吸・低呼吸の有無、使用時間・使用日数・マスクのリーク程度等が自動記録されています。これらの情報を解析することで使用開始直後における効果判定や定期的な状態管理を行っています。 治療にかかる費用 睡眠時無呼吸症候群と診断された場合、治健康保険が適用になります。 CPAP治療を続ける場合には月1回程度の定期的外来受診が必要で、 3割負担の方の場合、月4,500~5000円程度となります CPAP治療での経過観察について 現行の保険診療下ではCPAP治療を受けるために定期的な受診が必要です。 CPAP治療開始間もない頃は機器の微調整が必要であり、治療への不安や疑問も多く、受診時に解決して頂くことでより快適な継続治療が可能となります。 CPAP治療をより快適に行うために 治療機器を毎日快適にご使用頂く為にも、ご使用に疑問・問題がある場合にはお気軽に医師や機器会社担当者にお尋ね下さい。 CPAP機器の使用トラブルについて CPAP治療中は無理に我慢したり、自己判断にて使用中止となる事の無い様、下記を参考に正しく対処されるようにお願い致します。 代表的な症状とその対処法についてご説明致します。 CPAP機器から送られる気圧に慣れず、よく眠れない CPAP機器からは息を吐く時にも空気が送られています。慣れるまで違和感を生じる事があります。 しばらくご使用頂き、慣れない場合には何らかの調節が必要な場合もありますのでご相談下さい。 息を吐くときに辛い 送圧空気は息を吐く時にも機器より出ているのですが呼吸には問題は有りません。 状況により呼気時の送気圧・タイミングを調節し、別の機器を選択することがあります。 マスクの当たる鼻の周りがかぶれ、赤くなる マスクを締め過ぎている可能性やマスク形状の不一致の可能性があります。フィッティングを見直し、別タイプのマスクへの変更を含め検討することがあります。 マスクを上手に装着出来ない 装着方法を確認しマスクから漏れがなくフィットしているか確認します。ヘッドギアのしめ具合には『ゆる過ぎず・きつ過ぎず』をポイントにします。 マスク種類は多数あり、状況により変更させて頂いています。その他、マスクは消耗品であることからフィット感が悪く、劣化の場合交換となることがあります。 鼻が詰まり機械が使いにくい 鼻が冷たさを感じ、送気を加湿・加温して肺に送ろうとすることで鼻粘膜の血流量が増加しくしゃみ・鼻水・鼻づまりの症状を認めることがあります。 症状を軽減させる為に加温・加湿が必要で、室内に加湿器を置く、濡れタオルを干す、また室温を上げる、エアチューブを布団の中に入れる等で対処します。 装置専用の加温加湿器を状況によりお使い頂くこともあります。 アレルギー性鼻炎や花粉症等の原因で通りが悪い場合は内服薬を併用する場合があり、程度が強い場合では鼻粘膜焼灼術を行うことも有ります。 寝るときに口が開き、起床時にのどに違和感がある 睡眠中に口を開けている可能性があります。口から加圧空気が漏れ、気道が十分に広がっていない可能性もあります。治療効果が減弱しない様に口にテープを貼ったり、チンストラップを使用することがあります。鼻づまりが原因の場合では鼻粘膜焼灼術を行うことが有ります。マウスピースを併用する事もあります。 のどが乾く のどが乾燥する場合には加湿器での湿度調整が有効で、上記口を閉じて眠るバンドを使用することがあります。 目が乾く マスク周囲からの空気漏れによる可能性があり、マスクフィッティングを再度行う事があります。 耳鳴りがする 耳と鼻は管で直接つながっているため、急に痩せた場合等、耳管の状態によっては送気圧が耳に抜けて音に感じることがあります。送気圧調整や耳鼻科的処置にて症状の改善が期待できることがあります。 機械を使用してもいびきが残る マスク装着が不安定な場合や口が開く場合には充分な圧が掛からずにいびきや無呼吸が残ることがあります。使用状況・症状等に関し確認する必要があります。状況によりPSGを行いより詳細な確認をされることをお勧する場合があります。 寝ている間にマスクを外してしまう マスク装着による違和感や圧迫感、圧漏れの不快感、圧の過不足・変動による違和感もの、単純に慣れていない為等様々な原因が考えられます。詳細を確認しつつ対応させて頂いております。 起床時にお腹が張りげっぷが出る 口を開けている、設定送気圧が高すぎる、または無意識に空気を飲み込んでいる等の可能性があります。送気圧力の再調整・呼気時圧を下げる設定が必要であったり、慣れが関係していることもあります。経過を見ながら対応させて頂いております。 最初は有効であった送気圧が上がり始め、日中も息苦しい マスクの劣化や他疾患の発生から圧が掛かりすぎとなる可能性があります。耳鼻咽喉科領域の別疾患(腫瘍の存在等)の有無を含め詳細を確認する必要があるかもしれません。 CPAP療法にて変化が感じられない 自覚症状が少ない場合には治療効果の実感が乏しい場合があります。メモリーデータ上使用状況が良好で、無呼吸指数が改善しており、睡眠時無呼吸による病態(高血圧、高脂血症、不整脈等)の改善が認められていれば治療は有効です。 CPAP療法で症状が改善しない 使用日数や使用時間が短い可能性がありますが、圧力や機器適正について確認が必要で、問題なく使用できている場合ではその他の睡眠障害要因が考えられ、詳細を再度確認する場合があります。 マスクが変色して形態も変わった マスクは消耗品です。ご使用により素材が劣化します。放置すると治療効果に影響するため、お早めにご相談ください。(費用は掛かりません) 定期受診を受けるのが難しい CPAP療法は保険診療下では各個人が医療機関を通じ機器業者の機器をレンタルするという形で認められております。使用条件に月1回程度の定期受診を要しますが、生活スタイルにより受診が困難な場合もあるかもしれません。(全国的には長年使用していて特に問題がない場合、自費購入を考慮される方もおられます。)ご相談下さいませ。 いつまで続けないといけないのか 睡眠時無呼吸が他の治療法(マウスピース・手術)や生活スタイル変化、減量により無くなる場合、機器から離脱できる可能性があります。骨格等に原因(下顎発育不良等)が有る場合では離脱困難な場合もあります。 治療をやめると脳血管や循環器系のリスクが再現する可能性があるため長期施行して頂く事も多い治療法ではありますが、治療離脱のご希望がある場合は状態確認のために睡眠検査を受けて頂く様にお願い致します。 離脱の為の方策についても併せてご相談下さい。 マウスピースによる治療 睡眠時無呼吸症候群を口腔装具(マウスピース)で治療する場合があります。スリープスプリント又はオーラルアプライアンスとも言います。 下顎を上顎に対して前方に出し固定することで上気道を広く保ちいびきや無呼吸を予防します。 ご希望の方にはマウスピースを作り慣れている連携専門歯科医までご紹介致しております。 利点として機械に比べて持ち運びが楽で、旅行時・出張時に便利です。欠点としては装着時の違和感があります。 適応は主として中等症までの閉塞性睡眠時無呼吸症候群で、重症の場合、治療効果不十分との報告もあり、CPAP治療が困難な場合の第2選択として考慮致します。 保険適用については歯科医にご相談頂く形になります。自費の場合もありますが、検査施行し診断確定し、紹介により作成する場合、保険適応になる事もあり、費用は約1万2千円程度とされます。 マウスピース治療は、鼻に疾患が無いことが必須であり、耳鼻咽喉科医による上気道の精密な検査を受ける必要があります。全身合併症がある場合は内科医の治療を要する場合もあります。 作用機序 1.下顎固定で、開口に伴う気道狭窄が予防される。 2.下顎前方移動でオトガイ舌筋が緊張し、舌が前方移動し気道拡大する。 3.舌前方移動に伴い口蓋舌筋が緊張、軟口蓋も前方移動し気道が開大する。 適用の無い方 高度鼻閉 (耳鼻咽喉科治療が必要) 扁桃肥大著明 (耳鼻咽喉科治療が必要) 残存歯の少ない方、不良歯牙 顎関節症、明らかな顎形態異常 重度の歯周病 自己管理不能な精神障害・心身症 外科的手術 保存的治療に加え鼻・咽頭の外科的治療を考えます。 耳鼻咽喉科による外科加療単独で治癒可能のこともあります。 口腔・咽頭の外科療法 睡眠時無呼吸症候群の原因がアデノイドや口蓋扁桃肥大等による場合、摘出手術を行うと有効な場合があります。小児の多くや成人の一部に適応となります。UPPPという軟口蓋形成手術を行う場合もあります。 (成人では手術での治療効果が不十分である場合も認められ、成人の手術適応は慎重に評価する必要があります。手術部位の瘢痕化により無呼吸が再発する場合もあります。) また、狭い上気道を広げる為に上顎・下顎を広げる手術を行うことがありますが、国内でこの手術を行う医療施設は限られています。 鼻の外科療法 高度の鼻閉を認める場合はCPAP治療やマウスピースで加療しても無呼吸が残る傾向があります。必要に応じ鼻の日帰り外科治療(鼻粘膜焼灼術・鼻茸切除等)を考慮します。日帰り手術でで対応出来ない場合、ご相談の上治療先を紹介を致しております。 鼻の薬物治療について いびき・睡眠時無呼吸症候群の方の約24%に鼻中隔弯曲症、21.7%にアレルギー性鼻炎、9.7%に慢性副鼻腔炎が存在するとされており、鼻治療を行い上気道の抵抗を下げることで症状改善が期待できます。 アレルギー性鼻炎の他、慢性副鼻腔炎や鼻茸、鼻中隔弯曲症などでは持続的に鼻の通気抵抗が高まります。この場合、CPAP療法では必要送気圧が上昇して治療脱落につながります。マウスピース治療の場合でも鼻づまりが強いと効果が下がり使用困難となります。 鼻づまりの改善のため、状態に応じ点鼻薬・経口薬の併用治療が行われます。鼻腔内が広がり通過空気の速度が遅くなるといびきの原因である口蓋等の振動を減らす事も可能となります。 鼻呼吸が普通に出来ると口呼吸の必要がなくなり、口を閉じて寝ることが可能で、これにより下顎が下がり気道が狭くなる事を防ぐことが出来ていびきの予防になります。 ”小児の睡眠時無呼吸症候群”はこちらへ 小児の睡眠時無呼吸