スギ花粉アレルギーの発症機序

1.花粉による感作

 花粉が鼻腔に侵入して粘膜に付着すると、通常粘膜上皮にある細かい繊毛が運動をして花粉を外に押し出そうとします。それでも鼻内に残ってしまった花粉は鼻粘膜表面上に一定時間とどまると、次第に抗原成分(詳細としては、Cry j1 Cry j2)を出して粘膜に浸透させます。

 このタンパク抗原成分が鼻粘膜内で異物を認識する細胞であるマクロファージという細胞と出会います。マクロファージはスギ花粉の抗原情報を次に免疫に関係する細胞であるT細胞へと伝えます。更にT細胞は同じく免疫に関係する細胞であるB細胞へと情報を送り、ここで花粉に応対する抗体(スギ特異的
IgE抗体)が産生されます。これで“感作”が成立します。



2.花粉症の症状の発現

 一度からだが感作された後は、体内の肥満細胞の周囲に常にIgE抗体が結合している状態になります。

 この感作済みの
IgE抗体に対して、再度鼻粘膜から体内に侵入した花粉の抗原成分が結合すると肥満細胞という細胞が活性化され、この肥満細胞からヒスタミンやロイコトリエンといったアレルギー反応を生成する化学伝達物質が放出されることにより、アレルギーの諸症状が出現することになります。

 その症状には大きく分けて即時相反応といって直ちに現れる症状と、遅発性反応といってしばらく時間が経ってから現れる症状があります。


 即時相反応とは

 肥満細胞より放出された化学伝達物質が知覚神経や鼻内の腺組織・血管を刺激することによりくしゃみ、鼻水、鼻づまりといった症状が引き起こされます。

 遅発性反応とは

 上記のような花粉抗原に対しての即時相反応が繰り返されると鼻粘膜内で好酸球・好中球といった炎症性細胞の増加と上皮細胞の障害が生じ、粘膜の過敏性がさらに亢進、症状が遷延することになります。