薬剤性内耳障害

薬剤性内耳障害
 様々な薬剤により内耳障害が引き起こされる
 様々な症状を呈する
  一過性のものから永続・固定性のもの、遅発性のもの
  障害部位が蝸牛のみであったり、前庭半規管障害を伴うもの等
 原因薬剤
  ストレプトマイシンなどの抗菌薬、フロセミドなどの利尿薬、
  アスピリンなどの鎮痛薬、リドカイン等の麻酔薬、
  イブプロフェン等の抗炎症薬、エタンブトール等の抗結核薬、
  シスプラチン等の抗癌薬、クロロキン等の抗マラリア薬が代表的
  タバコや水銀・ベンゼン等も関与する

 ストレプトマイシン
  結核に使用された
  長期使用によりめまい・難聴を生じる
  ラセン器外有毛細胞を強く障害しラセン神経節細胞も変性
  平衡障害
   急性期に悪心・嘔吐・めまいが2週間程度持続
   Romberg試験陽性
   慢性期に頭位変換時にフラつく程度となり、閉眼時眼振著明
  聴覚障害
   耳鳴りから始まり、聴力低下に進行する
  聴力予後
   不良であり、予防が大切
   母系遺伝で家族性に多発することあり
   多くはミトコンドリア遺伝子155A→G変異による

 カナマイシン
  耳鳴りを初発症状として聴力低下を生じる
  内外有毛細胞を変性し高音障害から
  低音部位に障害が生じることはほとんど無い
  投与を中止すれば進行が停止し、中止後に発症する事は稀

 エタクリン酸・フロセミド
  血管条に作用してナトリウムの再吸収を抑制する
  内リンパ液の電解質組成が変化し難聴となる
  両側性で数日持続し、多くは回復

 アスピリン
  1日3g以上内服すると、耳鳴・難聴を生じることがある
  難聴は両側性・対称性・軽度障害水平型感音難聴
  外有毛細胞の収縮能が可逆的変化を受けた事による
  投与中止にて回復する