滲出性中耳炎

中耳炎症と耳管狭窄・閉塞が原因
中耳腔内に滲出液が貯留する状態
急性中耳炎と異なり痛みを訴えることがない
伝音性聴力低下は10~40dB程度
小児や高齢者では見逃されることが多い

検査
 ティンパノグラムではB型・C型、またはAs型
 
鼓膜所見
 鼓膜混濁、ツチ骨柄上部に発赤・血管怒張
 漿液性貯留液が存在する場合、貯留線
 粘稠貯留液の場合、鼓膜がにかわ色状になることも
 
自覚症状
 耳鳴りや耳内の液体浮動感
 耳閉感や圧迫感を伴う

年齢分布
 幼少児と高齢者にピーク
 
治療
 原因である鼻腔や咽頭の病態を改善させる
  通気を行い耳管や鼓室粘膜を正常化させ滲出液を流出
 状況により鼓膜切開、貯留液を吸引除去
 鼓膜切開を行っても無効の場合
  鼓膜換気チューブの挿入を考慮
 乳突蜂巣内部にコレステリン肉芽腫が存在する場合、乳様突起削開術
 癒着性中耳炎では鼓室内にステロイド注入や
       手術的鼓後膜剥離シリコンプレートを留置

起炎菌
 常に検出されるわけではない。
 インフルエンザ桿菌や肺炎球菌・黄色ブドウ球菌、
              モラクセラ・カタラーリスなど





小児の場合
 不十分な治療から再発を繰り返すと慢性的に生じる
  粘膜病変は長期残存することが多い
  完治前、耳痛消失し自己判断で治療中断される場合が多い
 約80%に副鼻腔炎が合併
 アデノイドが炎症を生じ、耳管機能障害が生じて中耳炎が慢性化
 アレルギー性鼻炎も耳管機能障害を生じ、貯留液貯留に関与

高齢者
 耳管自体の機能低下が原因
 上咽頭腫瘍が浸潤して生じることあり
 腫瘍への放射線照射等により耳管周囲粘膜腫脹により生じ得る

中耳腔貯留液
 性状は様々、漿液製から高度の粘稠性のものまで
 滲出液と漏出液の混合
 分泌細胞からの分泌液・血管系・リンパ系の
        循環障害からのうっ積透過等が関係
 中耳粘膜に炎症を生じると、中耳腔粘膜が線毛円柱上皮に置換、
        腺細胞等も増加、粘液が過剰産生される
 慢性化すると粘稠度が増加、にかわ状となり停滞、遷延する
 分泌型IgAや糖蛋白質の他、細菌・エンドトキシン・
        補体・免疫複合体が含まれ免疫応答が行われる